今は韓国外交と国防の全体的危機だ。しかし、政策の過ちを認め、北朝鮮の核保有という現実に基づく国家大戦略へと昇華させるチャンスはいくらでもある。ますます悪化する北朝鮮核危機の渦中で、歴代の韓国大統領と外交・国防専門家が集団的な希望的思考によって隠されてきた「韓半島の真実」が暴露されていることは意味深長と言えよう。韓半島の戦略ゲームの核心は2つだ。対話と交渉で北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権の核武装を防ぐことはできない点、そして、中国が社会主義国の北朝鮮を決して見捨てないという点だ。
エンゲージ(関与)政策と圧迫政策はいずれも核武装に向かう北朝鮮の金氏世襲体制の執念を打ち崩すことに失敗した。金正恩にとって、独裁体制の維持と核保有は一心同体だからだ。従って、平和協定の締結を通じた「核のない韓半島」の実現は不可能な理想に近い。たとえ平和協定締結と米朝国交正常化が実現したとしても、北朝鮮は一方的な核廃棄には応じず、米国と北朝鮮による相互核軍縮の見返りとして、かなりの核戦力を維持しようとするはずだ。結局核保有国・北朝鮮の存在は今この瞬間も韓半島の厳然たる現実であり、将来的にも変わることはない。あまりに難解な高次方程式と化してしまった韓半島の統一に向けた試練は、独自核武装を含む韓国の非常の決断と知恵を求めている。
乱世を打開する「孫子の兵法」や「六韜(りくとう)三略」といった戦略が深く根を下ろしたのが中国文化だ。秦の始皇帝や毛沢東のように「面が厚く、心が真っ黒」な「厚黒学」の達人が中国史の英雄、豪傑として登場するのもそのためだ。よって、中国の本音をあるがままに書いた環球時報は韓国にとって貴重な資料となる。韓国主導の統一韓半島を中国の大国崛起(くっき)の心臓部を狙った刀だと考えるのは、攻勢的な帝国・中国の東アジア戦略と関係がある。立派な主権国家である大韓民国を中国の国家戦略の犠牲にするのは6・25戦争(朝鮮戦争)だけで十分だ。「韓国はTHAADで中国を脅すな」という中国の言葉は、戦略的理由で北朝鮮の核武装を助ける帝国の尊大な詭弁にすぎない。真実は真逆だ。「中国はTHAADを口実に韓国を脅すな」と韓国が叫ぶのが当然というものだ。