トップページBusinessニュースマイナス金利導入決定から2週間 思惑と逆の動きも
ニュース詳細

マイナス金利導入決定から2週間 思惑と逆の動きも
2月12日 6時53分

マイナス金利導入決定から2週間 思惑と逆の動きも
k10010406291_201602120508_201602120509.mp4
日銀が、新たな金融緩和策としてマイナス金利を導入すると決定してから、12日で2週間になります。長期金利の代表的な指標とされる満期までの期間が10年の国債の利回りが今週、初めてマイナスとなるなど金利全般が低下していることから、銀行の間では定期預金や住宅ローンの金利を引き下げる動きが出ています。
このうち、大手銀行の「みずほ銀行」は満期まで2年以上の定期預金の金利を今週10日からの預け入れについて一律で0.025%に引き下げたほか、「三菱東京UFJ銀行」や「三井住友銀行」も今週から満期まで2年から10年までの定期預金の金利を引き下げています。また「ゆうちょ銀行」も今週9日から「通常貯金」の金利を今の0.03%から0.02%に引き下げたほか、「定額貯金」や「定期貯金」は9日からの預け入れについて引き下げています。こうした動きは、地方銀行の間でも相次いでいて、横浜銀行や東京都民銀行がすでに定期預金の金利を引き下げたほか、北洋銀行も12日の預け入れ分から定期預金の金利を引き下げます。
金利を引き下げる動きは、満期までの期間が10年の国債の利回りが指標となっている住宅ローンの固定金利でも出ています。「新生銀行」は今週9日から10年間、固定金利を適用する住宅ローンの金利をこれまでの1.25%から過去最低の1.15%に引き下げるなど、多くの種類の住宅ローンで金利を引き下げました。大手銀行はすでに、それまでの金利低下の流れを受けて今月から、10年間、固定金利を適用する住宅ローンの金利をいずれも過去最低の0.7%から1.05%まで引き下げています。今後については、長期金利の水準を見ながら、さらに金利を引き下げるかどうか検討することにしています。
また、企業に対する貸出金利も低下しそうです。「みずほ銀行」は、大企業向けの融資の基準となる金利「長期プライムレート」を今週10日から過去最低となる1%に引き下げると発表しています。
日銀のマイナス金利の導入は来週、16日から実施されますが、実施の後、金利全般がどのように動くのか市場では関心が高まっています。

住宅購入に追い風か

住宅ローンの金利がさらに下がる可能性があるため、住宅の購入を検討する人にとっては追い風となりそうです。
11日、川崎市の住宅展示場で開かれた住宅購入に関するセミナーには家族連れなど20人が参加しました。この中で、講師からは「住宅ローンの金利も来月から、さらに下がる可能性がある。購入資金の計画をたてるときに有利にはたらく可能性が高い」との説明がありました。
一方、大手住宅メーカーのモデルハウスでは、来店した家族連れが住宅ローン金利の説明を受けた際に、マイナス金利の影響について質問する様子もみられました。訪れた30代の女性客は「マイナス金利は住宅の購入には有利ということだったので好意的に受け止めている。住宅ローンの金利の引き下げは購入に踏み切る後押しになる」と話していました。
大手住宅メーカー「積水ハウス」武蔵小杉店の三井卓磨店長は「住宅ローン金利の引き下げが広く知られるようになると今後、来店客の増加が期待される。会社独自の相談会を開くなどして低金利のメリットを感じてもらえるようにしたい」と話していました。

日銀の思惑とは逆の形に

ちょうど2週間前、日銀が新たな金融緩和策としてマイナス金利の導入を決めました。世の中の金利を下げて、経済を活性化しようというねらいでしたが、日銀としては円安・株高の方向にもっていく思惑もありました。
決定当初こそ、円安が進み、一時、1ドル=121円台になりましたが、一転していまの円高の状況。一方、日経平均株価も一時、1万8000円近くまで値上がりしましたが、今は大きく下落しています。
この2週間で、世界経済の先行きへの不安が高まったこともあって円相場、株価とも円高・株安の方向に大きく動き、日銀の思惑とは逆の形となっています。円高は輸出に関わる企業の業績を悪化させるおそれがあり、株安は消費を冷え込ませるおそれがあります。一方、そもそものねらいの金利の低下はねらいどおり進んでいます。

関連ニュース

このページの先頭へ