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【関西の議論】
今どき政活費1千万円で海外視察 「サミットのため」とはあきれる 三重県議13人の“常識”を問う
しかし、ほとんど現地調査などをした形跡はうかがえず、行程は観光旅行と変わりない内容だった。たとえば新政みえの後半の日程。ヴェネツィアは数々の世界遺産で知られ、視察先の同教会は小さな島と一体化し、「水辺の貴婦人」と呼ばれる美しいたたずまいで知られるが、こうした世界遺産を説明役の担当者もつけず見て回っていた。
また両会派とも視察報告書は、「世界的に有名なドゥーモ(教会)のすぐ側に落書きがあることは驚きを禁じ得なかった」など、見たまま、思ったままのような「感想」や、イタリアに関する一般的な知識の記述が目立った。視察の前提となる問題意識や目的の説明は見られず、何の知見を得るための視察かが不明瞭な印象はぬぐえない。
「視察は生かされる」
それにしても、今回の視察に13人も必要だったのか。しかもどこに行くにも集団で行動し、1週間もかけてミラノやヴェネチアなどを巡ることに政務活動を当てる必然性はあるのか。疑問を議会事務局にぶつけると、担当者は苦笑いしながら言った。
「海外の見聞を『伊勢志摩サミット』の成功に生かすといわれたら、強くは出れませんから」
元兵庫県議による収支報告書への虚偽記載事件など、政務活動費へ世間の厳しい目が向けられる中での大視察団の敢行。前田県議は「来年にはサミットがあり、今回のわれわれの見聞が何らかの形で生かされる可能性がある」と意義を強調するが、はたして県民は納得できるだろうか。