【寄稿】真冬の韓国で高校野球大会、禁止にすべきだ

 1年で寒さが最も厳しい1月と2月に高校野球大会が開催されるという、あまりにも非常識な事態となり、野球関係者やファンが心配している。大韓野球協会によると、1月23日から9日間の日程で開催される済州ウインター・リーグを皮切りに、この2カ月で6つの大会が開催され、70以上のチームが参加するという。冬に高校野球大会が開催されるのは今年がはじめてだ。

 厳しい寒さの中で公式戦を行った場合、早い時期から試合感覚を取り戻せるという利点はあるかも知れないが、一方で間違いなく負傷者が続出するだろう。整形外科医らによると、気温が7度以下の環境で投球あるいは打撃を行った場合、じん帯や関節が負傷するリスクが一気に高まるという。大会が開催される済州、釜山、慶尚南道はいずれも韓国国内で平均気温は高い方だが、それでも例年のこの時期に昼間の最高気温が7度を上回るケースはほとんどない。

 また冬に高校野球大会を開催する理由が「競技力向上」にあるというから、これも理解に苦しむ。遠方でキャンプや合宿を行えるほど恵まれた環境になく、また休養ばかりしていては選手はもちろん、父兄やコーチも不安を感じるため、彼らの求めに協会側が押し切られたのが実情のようだ。ちなみに負傷のリスクは打者よりも投手の方が高い。ある調査によると、2013年度のプロ野球新人投手43人のうち、41人が肩やひじに負傷を抱えていた。またその66%にあたる27人は「痛みをがまんして投げたことがある」と回答しており、21人(49%)は「寒い中で無理して投げたことがある」と回答している。ただの練習だけでもこのように負傷する選手が多い中、今回厳しい寒さの中で試合まで行うとなれば、その悪影響は目に見えている。

 プロ野球でも優れた新人投手が減る傾向にあることから、全体的に「打高投低」の傾向が強まっているが、これは若い選手を酷使する高校野球の古い体質と無関係ではない。高校野球はプロ野球選手の重要な供給源でもあるため、韓国野球委員会(KBO)も今回の問題にはとりわけ大きな関心を持たねばならない。教育部(省に相当)も若い選手を守るため「冬季の試合禁止」をルール化するなどの対応が必要だ。

キム・スイン(スポーツコラムニスト)
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