土屋アンナ、主演舞台中止裁判で完全勝利
歌手で女優の土屋アンナ(31)の主演舞台の上演中止を巡って、脚本・演出を務める甲斐智陽(ともあき)プロデューサー(64)が約3000万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は25日、請求を棄却した。一方、甲斐氏が作詞作曲して公開した楽曲「ANNA」が名誉毀損(きそん)にあたるとしてアンナ側が約1100万円の損害賠償を求めた訴訟では、甲斐氏に33万円の賠償を命じた。アンナ側の完全勝利に甲斐氏は「見てろよ。このまま終わらないよ」と怒りをぶちまけ、控訴する方針を示した。
2013年10月7日に始まった訴訟が、ついに判決を迎えた。原克也裁判長の声に耳を傾ける甲斐氏。「請求を棄却する」「土屋アンナに対し33万円を支払え」。予想もしていなかったという全面敗訴に、甲斐氏は怒りの形相に変わった。
請求棄却の理由として、裁判長は甲斐氏の準備不足と台本の権利関係のずさんな管理を挙げた。公演のスポンサーが見つからず制作費がなかったこと、稽古場の確保や舞台装置の発注がされていなかったことを指摘。台本の原案とされる「日本一ヘタな歌手」の著者で、身体障害者の歌手・濱田朝美氏が台本の内容を承諾していなかったことも認めた。
閉廷後、取材に応じた甲斐氏は「話にならない! 何の準備が不足していたのか聞きたいよね。100対0で負けるとは思わなかった」と声を荒らげた。敗因は自身の“素行不良”と分析。2014年に裁判所が非公開で、土屋側が解決金200万円を支払う和解勧告案を示した際の出来事を、こう明かした。
「(当時の)裁判長に『障害者をないがしろにしたら何を言われるか分からない』と言われて『障害者だったら何をしてもいいのか』『ざけんな、お前!』って机をたたいちゃったんだよね」
苦笑いで振り返った甲斐氏は「そうとう腹立ったんだろうね。裁判所に食いつく人、いないからね」。心証が良くなかったのか、と問われると「サングラスとか俺の横柄な態度がね…。でもそんなことで白黒変わっちゃうわけ。裁判官、訴えちゃいけないかね」とぶちまけた。
インターネット上に公開した楽曲「ANNA」が名誉毀損にあたるとされたことについては、「アホじゃないの。はまりがよかったからANNAにしただけ。アンナのことなんか考えて曲は作らないよ」と切り捨てた。今後については「控訴に決まってます。ダメだったら最高裁まで行きます」と宣言。アンナに対しては「見てろよ! このまま終わらないよ」と再び宣戦布告した。