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【社会】

わら不足で納豆ピンチ 生産農家の高齢化、天候不順も影響

水戸の土産として観光客に親しまれている「わら納豆」

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 水戸の土産として観光客に親しまれている「わら納豆」が約二十年ぶりに大幅に値上げされた。生産農家の減少と昨秋の天候不良で、稲わらが高騰したためだ。農家は七十〜八十代が中心で引退が相次いでおり、納豆メーカーでつくる業界団体は「このままでは水戸の名物が消えてしまいかねない」と危機感を強めている。

 わら納豆は、束ねた稲わらに入れた大豆を納豆菌で発酵させる昔ながらの製法で作られる。パック納豆に比べ一本二百〜三百円と高価なため、土産用や贈答用が中心だ。

 二月に値上げしたのは、水戸市内の四社。各社は二〜四割の値上げや、セットの本数を減らすといった対応を迫られた。

 原因となった稲わら不足について、四社の一つ「だるま食品」の高野正巳社長は「水戸市近隣に四十〜五十軒あった生産農家が今は十軒もない」と話す。メーカーに納める茨城県内の稲わら販売業者も「関東・東北水害など昨秋の雨でかびてしまい、例年の七割しか確保できなかった」という。四社は農家に稲わらの生産を続けてもらおうと、買い取り価格を二月から約二・五倍に引き上げた。新たな担い手を育成しようと、業界団体の理事長でもある高野社長は「地元農協や行政と協力して、安定した生産態勢をつくりたい」と話している。

 

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