英語学習の目的はTOEICではありませんが、自分の英語力を何らかの数値として測れるのは便利なものです。そして、せっかく試験を受けるのなら、少しでも高得点を取りたいと考えるのが人情です。
僕の場合、300点台からスタートして800点までは順調に伸びたのですが、800点台の時期が長く続きました。かと言っていつもTOEICの勉強ばかりしていた訳ではなく、むしろTOEICはあまり好きではありませんでした。それでも、800点台でTOEICから離れるのはなんとなく悔しいので、900点を超えたらTOEICから離れようとずっと考えていました。
多読で英語に親しもう
当時の僕は、900点を突破するためにTOEICの問題集をたくさん解きまくりました。そして万全を期して試験に臨んだつもりだったのですが、それでも900点には届きませんでした。結局、TOEICのことばかり考えるのは嫌になって、普通の英語学習に戻りました。
その頃、たくさん英字新聞を読むと良いという話を聞き、毎日30分〜60分ぐらい英語のニュースサイト(News On Japan)を読みました。その生活を続けた後、半年ぶりにTOEICを受験すると、どんなに頑張っても届かなかった900点を大きく超えて950点まで伸びていました。
一気にスコアが伸びて900点突破
多読が良いとは聞いていましたが、僕自身も多読の効果を体験したことになります。また、このように英語力の変化を数値で見られる点がTOEICの便利なところです。
多読とは
ひとことで言うと、英語の文章をたくさん読むことです。日本人は英語に触れる機会が少ないため、洋書などをたくさん読むことで英語に慣れ親しんでいく学習法です。もちろん多読だけやっていれば英語力が伸びるというわけではありませんので、他の英語学習と並行して多読することをお勧めします。
一般的な多読のルールは以下の3点です。
- 辞書をひかない
- 分からないところは飛ばす
- 面白くなければやめる
僕はこれに加えて、「和訳つきの英文をたくさん読むと良い」と考えています。やっぱり意味が分からないままにしておくのは気持ちが悪いからです。意味が分からないだけならまだしも、誤読した場合は間違ったまま記憶に残ってしまいます。(ただしこれは僕個人の考えですし、好みの問題ですので特に推奨はしません。また、和訳つきで多読向きの本を探してはいるのですが、かなり限定されてしまいます)
英語講師の安河内哲也氏は、次のように述べています。
私が思いきった方法としてお勧めしたいのが、翻訳が出ている本ならば、まず日本語訳を読んでからオリジナルの英文を読むという方法です。一度日本語で内容を把握してから読むと、初めて読む英文でもかなり楽に読めます。
多読の効果
「世界一受けたい授業」でも特集された、「田舎の無名高校から東大、京大にバンバン合格した話―西大和学園の奇跡」 の西大和学園は、創立当初は非常に荒れていたにも関わらず、わずか4年で東大合格者を出すほどの進学校になりました。その西大和学園では授業に多読を取り入れており、生徒たちは洋書をたくさん読んでいます。
10カ国語以上を身に付けた言語学習の達人スティーブ・カウフマン氏は、自身の経験から外国語学習には多読多聴が効果的と話しています。スティーブ氏の日本語力は動画を見ての通りです。
脳科学者の茂木健一郎氏は、多読について以下のように話しています。
僕は英語で苦労した記憶がありません。高校のときに自分に「英語の原書をたくさん読む」という無茶ぶりをしたのが効いたようです。『赤毛のアン』シリーズや科学書などの英語の原書を、3年間で30冊ぐらい読みました。最初は苦しかったのですが、読み終えたあとは、大学入試くらいの英語だったら問題ない状態になりました。
あの夏目漱石も英語多読を推奨しています。
英語を修むる青年はある程度まで修めたら辞書を引かないで無茶苦茶に英書を沢山読むがよい、少し解らない節があって其処は飛ばして読んでいってもドシドシと読書していくと終いには解るようになる
難しすぎない英文を選ぶことも大切です。ピッツバーグ大学で言語学を専門とする白井恭弘氏は、理解できる英文を大量にインプットすることを勧めています。
SLA研究の結果わかってきたことは、インプット、それも「理解できるインプット」が、言語習得のカギを握っているということです。
他にも多読や多聴を推奨する人は多く、非常に効果がある勉強法だと考えられます。日本人が日本語を覚えるときも、小学生の頃から何冊も国語の教科書を読み、漫画や小説などもたくさん読んで育っているはずです。英語学習でも多読は必須と言えるのではないでしょうか。今ではネットや電子書籍でも簡単に多読ができますので、興味がある方はぜひ挑戦してみてください。
最後に、多読で利用しやすいおすすめのウェブサイトと書籍を紹介します。
おすすめウェブサイト
NHK ONLINE ニュースで英会話
1日1回更新(平日のみ)、和訳あり、音声あり(速度は二段階)とさすがのNHKクオリティ、完璧です。会員登録(無料)が必要ですが、バックナンバーが大量にあるので読み放題です。また、英文には難しい単語に下線が引いてあり、下線つきの単語をクリックするとポップアップ辞書が現れます。非常におすすめのサイトです。
News On Japan
1日数回更新、和訳なし、日本のニュースを英語で紹介しています。1記事の英文量が少ないので挫折する前に読み終わります。
News in Levels
週に数回更新、和訳なし。同じテーマの記事がレベル別に3通りの英文で記述されています。英文量は少なめ。まずは自分のレベルに合う英文を読み、余裕があればLevel1からLevel2、Level3と順に読んでいくのも良いですね。Level1は初歩的な中学英語です。
おすすめ書籍
英会話・ぜったい・音読 【入門編】—英語の基礎回路を作る本 国弘 正雄 千田 潤一 久保野 雅史 講談社インターナショナル 2001-04-05 Amazonレビュー:☆4.3 |
ぐんぐん英語力がアップする音読パッケージトレーニング 中級レベル(CD BOOK) 森沢 洋介 ベレ出版 2011-03-25 Amazonレビュー:☆4.1 |
改訂版 英語で日本紹介ハンドブック 松本 美江 アルク 2014-04-25 Amazonレビュー:☆4.4 |
Yotsuba&!, Vol. 1 Kiyohiko Azuma Orbit 2009-09-15 Amazonレビュー:☆4.8 |
猫まんがで楽しい英語多読 1 猫さえいれば世界は楽しい (猫まんがで楽しい英語多読 猫さえいれば世界は楽しい) (English Edition) のぐち ことよ 宮西 咲 エリザベス ヘイワード BLT publisher 2014-01-14 Amazonレビュー:☆4.2 |
ペーパーバック(洋書)は好みの分かれるところですので、図書館で適当に何冊か借りて読んでみると良いでしょう。
今回は多読について紹介しました。これはTOEIC対策というより英文読解力を高めるための勉強法です。TOEICの長文問題は年々英文の量が増え、たくさん読んで回答する傾向になりつつあります。受験テクニックではなく本当の英文読解力が問われているのです。そのため普段から多読を通して英文に慣れておかなければなりません。
多読をするときは「これから英語の勉強をするぞ」と意気込むよりも、気楽に趣味の読書をしていると考える方が長続きするように思います。ウェブサイトや電子書籍なら、ちょっとした隙間時間などにスマホをさっと取り出して読めるので便利ですね。僕はよく入浴中にスマホで電子書籍を読んでいるので、つい長風呂になりがちです。
多読の秘訣はなんと言ってもたくさんの本やサイトを読むことです。本をたくさん買うにはお金がかかりますので、積極的に図書館を利用したり、友だち同士でグループを作って本を貸し借りすると良いのではないでしょうか。
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