北朝鮮・平壌駐在の外交官たちは3日、科学技術殿堂に行った。ここには北朝鮮が3年前に発射したロケット「銀河3号」が展示されている。外交官が自発的に行ったのか、それとも行かされたのかは不明だ。朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は外交官たちが「偉大なる首領様たち」の肖像画に花束をささげ、北朝鮮の科学技術に驚嘆したと報じた。
ここには銀河3号のほかにも戦車・銃・戦闘機が展示されている。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党第1書記が考える「科学技術」の定義が一目で分かる。金第1書記がミサイル発射を予告したことで追い風という恩恵を一番受けているのが安倍晋三首相だ。何はともあれ、政権の中核を担う閣僚が建設業者からわいろを受け取ったスキャンダルの話題が目立たなくなった。野党がもっとこの部分をたたきたくても、既にトップニュースではなくなっている。
平壌で外交官らが科学技術殿堂を訪れた時、安倍首相は東京で国家安全保障会議(NSC)を主宰していた。そして、国会で「国民の安全確保に万全を期すよう指示した」と言った。24時間足らずで地対空ミサイルを搭載した海上自衛隊輸送艦が広島を出航、同日夜にまた1艦が動いた。北朝鮮のミサイルが日本の領空を通過し、フィリピン近海に落下することを示す図が全主要紙に掲載された。
この三日間、首相官邸・外務省・防衛省は目に見えて慌ただしく動いた。
日本政府は4日、東京と沖縄で自治体を対象に、緊急事態発生時の警報システムに関する説明会を開いた。菅義偉官房長官が「(何があればすぐに)行政機関やメディアに情報を伝えると同時に、瞬時に警報を出すシステムを活用して国民に知らせたい」と述べた。
岸田文雄外相は駐日中国大使やロシア大使に会い、「北朝鮮を自重させてほしい」と言った。木原誠二外務副大臣は国連安全保障理事会メンバー10カ国のうち、日本を除く9カ国の駐日大使を外務省に呼び、対策を話し合った。
中谷元防衛相は記者団に「(北朝鮮は国際機関に対し)我が国の南西諸島上空を通過する経路で(ミサイルを)発射する通告を行ったと承知している」と述べた。防衛省幹部らは記者団にイージス艦の配備状況やレーダー監視態勢を説明、「ミサイルが領空に入れば、首相の承認を待たずに迎撃する」と強調した。