【シャンパーニュ:40】極上熟成シャンパーニュ3種で馥郁の極致を知る

こんにちは、HKOです。
ここの所、ワインよりレストランの方が更新が多く、ワインのレポートを気にして頂いている皆様には大変申し訳なく思います。
ただ個人のブログなので許してくださいませ。
ワインはネタ切れ感が凄いのと、あとホントブルゴーニュたっかい...続きませんわこれ...
高騰で一部ついていけなくなっている所があります。
これからもヴィンテージを把握するために要所要所飲んでいこうと思いますが、特級全種類比較!とか、特級の垂直!とかカルトワイン祭り!みたいのは多分もう多分やんないと思います。それよりも安く頂けるグランメゾンのランチの方が刺激を受ける事が多いと。
そんな事言いながら、今回はクリュッグヴィンテージとアランロベール、サロンの1982年という超弩級の比較になっています。
ご相伴に預かっているだけですけどね...
では行ってみましょう!
【データ】
ご存知の通り、クリュッグはNMとしては最上級のメゾンでスタンダードのグランキュヴェにして他メゾンのフラッグシップ級です。
圧搾機で絞られたヴァン ド キュヴェのみを20-30年使用した古い小樽でマセラシオン(新樽は使わない!)。マロラクティック発酵は行わない。そして、クリュッグの本懐であるブレンド作業に入ります。3つの葡萄品種を村、区画ごとに分けたベースワインに、収穫年の異なるリザーブワインをアッセンブラージュしていきます。熟練のブレンダーが舌だけを頼りに。瓶内二次発酵後グランキュヴェは6年間、ヴィンテージは10年寝かせての出荷。これらの要素が欠ける事無く行われる事で芸術的なクリュッグが作られる。フラッグシップはブラン ド ブランの「クロ デュ メニル」、ブラン ド ノワールの「クロ ダンポネ」の2種類ですが、まあ高すぎて中々手に入らない代物です。
今回はクリュッグ ヴィンテージ。
傑出した年にのみ生産される単一年のクリュッグです。
アラン ロベールはメニルに拠点を置いていたレコルタンマニピュラン。
そのクオリティの高さと生産本数の少なさ(受注生産)、反比例する需要の多さ、そして現在は生産していないことから幻の生産者と呼ばれています。現在は後継者に恵まれず、自身のル メニルはルイ ロデレールとクリュッグ(クロ デ メニル)に売却済。
17世紀から400年近く自社の畑のみでシャンパーニュを生産し、市場に出たシャンパーニュはすべて併せて11万本ほど。
グランクリュのル メニルの平均樹齢30年のシャルドネ100%を使用し、伝統的な生産手法によって生産されています。完熟した葡萄を手摘みで収穫し、ヴァン ド キュヴェのみ使用。
大樽(デュミミュイ)にて一次発酵を行った後、ボトル キャップで栓をした瓶で二次発酵。デゴルジュマンまで、ワインは澱の上に寝かせられます。デゴルジュ後も長期熟成による安定化を行い出荷します。
フラッグシップは黄金のラベルが輝く、ル メニル トラディション。
サロンはウジェーヌ エメ サロンにより1914年に創立されたシャンパンメゾン。ポートフォリオはドメーヌが作る唯一のシャンパーニュにしてフラッグシップ サロン。生産本数は多い年で4万2千本。
葡萄はコート デ ブランはメニル シュール オジェから収穫されたシャルドネ100%。ヴァン ド キュヴェのみ使用。温度コントロールの出来るステンレスタンクに野生酵母でゆっくりと発酵。マロラクティック発酵は行わない。ドサージュを経て瓶詰めされ、10年という長期間の熟成を経てリリースされる。不作の年はリリースされず全てドゥラモットとしてのリリースとなります。
【テイスティングコメント】
生産者: クリュッグ
銘柄: クリュッグ ヴィンテージ 2000

約20000円、WA95pt
外観はストローイエロー、粘性は中庸。
以前飲んだ2000年と比べると少し印象が異なった。花の蜜の様な風味はハチミツの様な甘露さになり、よりフレッシュな側面が突出すると共に、ノワゼットやバターなどの香ばしい樽の要素はかなり控えめになっている。熟成による旨味はしっかりと表出。フレッシュハーブ。ライチやマンゴーの果実味が感じられる。樽やバター的な要素が控えめになり、蜜的なフレッシュさが突出。ミネラリーな味わい。
バランスが変化しているが、繊細で緻密さは変わらない。ボディはしっかりとしており、酸味と共に素晴らしくフレッシュながら十二分な余韻と旨味がある。
生産者: アラン ロベール
銘柄: グランクリュ ル メニル ブラン ド ブラン レゼルヴ 1982

約20000円、WA93pt(1979)
外観は濃いめのイエロー、粘性は低い。
サロン同様のさ、強烈な旨味要素と共に石を砕いた様なミネラル感を感じさせる。とはいえサロン程大仰ではなく、より繊細で緻密な構成のシャンパーニュ。ドライシェリーやドライハーブ、白胡椒のスパイシーな要素、ヘーゼルナッツの様な香ばしい風味、カッテージチーズ、そしてレモンやカリンなどの柑橘系の旨味に満ちた果実味がある。
こちらも酸味と旨味が突出しており、サロンと同様の方向性。旨みとミネラル、酸味が綺麗に調和が取れており、ドライシェリー、ナッツやレモンのような酸味を感じさせる。
いつまでも残る旨味と強いミネラル感はメニル シュール オジェかもしれない。
生産者: サロン
銘柄: サロン ブラン ド ブラン 1982

約100000円、WA95pt
外観は濃いめのストローイエロー、粘性は強い。
クリームブリュレ系とは異なる方向の頂点を指し示すシャンパーニュ。
いわゆる繊細なブラン ド ブランとは全く異なる塊感とある旨味の層の厚みに驚かされる。若いヴィンテージの消費者の一切を拒絶する様な清廉さと堅牢さは影を潜め、強烈な存在感を放っている。
ミネラリーな質感を残しながら、アンズやネクタリンの様な抜群の凝縮感と旨味を包含し、ステンレスタンクにも関わらずどこかブランデーやドライなカラメル、ドライシェリーなどの要素もある。ドライハーブやシナモン、白檀などの複雑な要素も絡み合う。
酸味と旨味が凄まじく調和してアタックも極めて厚い層で押し寄せる。アンズやブランデー、ドライシェリーの様な長い余韻を残す。強烈な旨味の表出。
【所感】
すごい...(小並感)
完全にクリュッグヴィンテージ2000が前座状態です。勿論美味しいのは間違いないのですが、サロンとアランロベールが突出しすぎている。クリュッグが小物である、という勘違いをしてしまう程に。(80年代のクリュッグ ヴィンテージほどではないですが、過去のヴィンテージ垂直ではかなりいい線いっていた覚えがあるのですが)
さて今回の突出した2本には共通点があります。
それはル メニル シュール オジェのブドウを使い、MLFを行わない点です。
例えばドン ペリニヨンとかグランダネ、ブラン ド ミレネール、テタンジェコレクションなどの大手メゾンでMLFを行っているキュヴェの終着地(というかピーク)はさながらクリームブリュレの様な味わいを放つのですが、MLFせず樽の要素も少なめに抑えているキュヴェの終着点は今回のサロンのような風合いが表出するのではないかと考えています。※あくまで仮説です。ステンレスタンク&MLFなしでブリュレになったらごめんなさい。
ただ逆にMLF&樽のシャンパーニュは出汁様になるのは実体験としてありますから、必ずクリームブリュレ化するわけではないんですけどね。勿論これらは熟成超過によるもので、酸を失い若干緩いテクスチャになっています。今回のサロンやアランロベールの様に頂点を極めたスタイルではないです。
頂点に上り詰めたサロンとアランロベールは、ボディを下支えする強固なミネラルと酸を残した状態で、酸化的なアプリコットやネクタリンの様な旨味を強烈に放出するワインとなっています。スパイスやシェリーの様なアロマも感じられます。
サロンはそれらを強烈に放出するタイプで、アランロベールは酸のタッチや旨味の放出はすこし控えめで繊細かつ緻密です。
共通する要素がありながら微細な違いがあるのは面白いですね。ドゥミミュイで熟成されている違いでしょうか。根本が同じなのはやはりメニルだからか。
どちらも劣らず素晴らしいですが、概ねサロンの方が評判は良かったです。
そう見るとクリュッグはまだ伸びしろを十分に残した途上の味わいでした。これから数十年伸びていくかと思います。
そういう意味では最終的な姿を見てみたい一本ではあります。
◼︎供されたご飯
極限られた人しか入れない三軒茶屋のメイニアックガストロノミーにて。
大変美味しゅうございました。
いつも本当にありがとうございます!!!
・お刺身と3種テリーヌ(野菜、鶏とフォアグラ、オマール海老)と鴨のロースト

オリーブオイルとレモンをかけたホタテがレモンをキーにしてサロンと素晴らしく調和。
・ハマグリの茶碗蒸し

魚介出汁とシャンパーニュの味わいが奇跡的に美味い。
・平目のムニエル クリュッグソース

平目がすごく柔らかくてフワフワ。クリュッグを使った卵のソースも素晴らしい。やはりクリュッグとの調和が素晴らしかった。
ロオジエのスペシャリテをイメージさせる極太のホワイトアスパラガスも大変甘く素晴らしい。
・ゴンドランシェリエのクイニーアマンとクロワッサン

安定かつ美味しい。大変嬉しい。
・豪華なミニャルディーズ

ラデュレのマカロン、マロングラッセ、ゴディバのチョコレートなど。
サロン [1995] Salon |
【送料無料】クリュッグ クロ・デュ・メニル [1998] 並行※こちらは出荷まで2-3営業日お時間を... |
100時間限定!楽天スーパーセール&ショップ・オブ・ザ・イヤー受賞記念セール第3弾開催中!よ... |
- 関連記事
- 【シャンパーニュ: 41】ピエール ペテルス レ シェティヨン 2006 (04/29)
- 【シャンパーニュ:40】極上熟成シャンパーニュ3種で馥郁の極致を知る (03/04)
- 【シャンパーニュ:39】ドンペリニヨンの真価、熟成の軌跡 (02/17)
スポンサーサイト