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人生いつも三日ボーズ

三日坊主ゆえに不定期更新&ノンジャンル

高級布団の販売員が家に来た時の話

Futon
Futon / Mr Wabu

約6年前の話。
当時は地方で働いていて、休みの日にとある訪問者が自宅に来ました。

来たのは、まだ10代?と思わしき、どこにでもいそうな女性…というかむしろ女の子。話を聞くと、何だか布団の訪問販売をしているとか。その子いわく、

 

超高級品だから1世紀はもちます!(真顔)


…とのこと。いや、本当に真顔で「子や孫の代まで受け継げる布団です!」と力説されましたからね?(笑)

ここで思わず僕は、

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これをやってしまいそうになりましたが、グッと堪え、とりあえず話だけでも聞いてみることに。この時から「損得より面白そうなこと」を優先する性格は変わっていないようでした(笑)

んで色々聞いてみると、その会社は

・関西に本社がある(たしかにその子は関西訛りだった)
・僕が住んでいた地域には支店があって応援に来た
・単身用アパートを訪問して回っている(たしかに僕がいたのは、会社が社宅として借りていたレオパレス)
布団一式はやはり100万円以上する(ここは譲らない)

…などなど。関西弁というだけで、怪しさが3割増しになるのは僕だけ?あ、偏見でしたねサーセン。

でなんやかんや雑談も交えて話をしていると、なぜか女の子が急に泣き出す。

なんでも、布団の訪問販売なんて9割9分門前払いで、ここまで話を聞いてくれた人は初めてだと。入社したばかりで門前払いばかりくらって、かなり精神的に参っていると。

…いや、そりゃそうでしょ。100万円の布団を怪しいと思わずにサクッと買ってほしいなら、レオパレスなんか回ってんじゃないよ。とは言いませんでしたが、それは…大変ですね。と言葉を濁す僕。

すると、急にその子は部屋を出ていき、5分後。

その100万円する布団一式を抱えて戻ってきました。


…いやいや、まだ買うか決めてないんですけど。という僕の言葉にも「とりあえず寝てみてください!」と、ただでさえ狭いレオパレスの部屋の床に強引に布団を敷きだす。

そしてとりあえず言われた通りに寝てみる僕。
その子に「どうですか?」と聞かれたその感想は…

布団の違いなんてよく分からない。


いや本当に。マットレスの硬さの違いとかならまだ分かるかもしれませんが、羽毛布団の良し悪しなんて…その中に入っている羽の質が違うとかそういうのなんじゃないの?

とは言え、そんなストレートに言えなかった僕は「あー…なんか違いますね」とまたもや言葉を濁す。「分かりますか!」と嬉しそうな女の子。

とその時、突然「ピンポーン」と家のインターホンが鳴らされる。

お、誰だ同僚か?これを理由にこの子を追い返せるかも!と思いながら玄関を開けるとそこにいたのは…

その子の上司と名乗る人物でした。

 

悪夢はまだ終わらない。

たしかに、この人も関西弁。しかも女の子よりコテコテ。その上司いわく、この女の子は入社1ヶ月ぐらいで、僕の部屋に長居しているみたいだから心配になって様子を見にきたとのこと。

何だオイ、時間がかかってるからってダブルで攻めに来たのか?

と疑りながらも、いやー良いものだと思うんですけど、価格がねー…と渋るフリをして様子を見る僕。上司は当然「その布団の良さ」を全面的に推しだすセールストーク。

いや、それはもう最初の子から聞きましたと言って僕がかわすと、その上司は不意に

「そういえば、そちらの会社に勤務しているAさんとBさんにもご好評いただいておりまして〜」


みたいな事を言いだしました。ちなみにその2人は、本社の社員。なぜこの2人の名前を知っているのか…?もしかして、本当にいいものなのか?と少し心が動き出す僕。

僕「…本当にAさんとBさんも使っている布団なんですか?」
上司「ええ、本当ですよ!あのお二方とは、今も仲良くさせてもらってます!」
僕「…そうなんですか。じゃあ、僕も」
インターホン「ピンポーン」

…ん?また来客?今度は上司の上司でも来たのか!?

と思いながら出てみると、そこにいたのは僕の会社の上司。

僕の上司「オイ、お前のところに布団業者が来てないか?」
僕「え?あ、来てますけど…」
上司「うちの会社の名前出して、皆さん買ってるみたいな事言われたろ?」
僕「あ、ハイ。AさんとBさんが愛用してるって」
上司「それ嘘だから。ここに住んでるCも勧誘にあって、本社に電話して聞いたんだと。そしたらAもBもそんな高い布団買うわけねーだろ!って言ってたってよ」
僕「!!」
上司「まあお前の金だから欲しけりゃ買えばいいけど、よく考えろよ」

そう言って、上司は帰っていきました。

ここから先は、皆さんお察しのとおり。僕は「検討します」の一点張りで、その布団販売の2人には帰ってもらいました。もちろん、再訪問は完全にシャットアウト。

その後、本社と支店全体に「高額の布団販売に注意!」というFAXが流れ、この話はまたたく間に全社員の知るところとなりました。

その後、また別の社員のところへもその訪問販売が行き、その社員が

「お宅の会社、うちの会社で噂になってますよ。もううちの社員のところへ来てもムダだと思いますよ?」

と言ったそうな。それからというもの、その社員のところにも他の社員のところにも、その布団販売の業者が来ることは無くなったという事でした。

その後、僕は支店を異動になったので、その地域にまだそういう販売員がいたのかは分かりません。が、一瞬でも購入しそうになった自分を戒めています。

僕みたいのを「カモ」って言うのでしょうが、やたらと高額な布団販売には注意しよう!という自分への教訓となった、今回の体験談でした。ちなみに実話です。

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