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ドイツ銀、6000億円規模の債券買い戻し 信用不安対策

2016/2/13 0:16 (2016/2/13 1:03更新)
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 【ミュンヘン=赤川省吾】信用不安に見舞われているドイツ銀行は12日、自らが発行した債券を買い戻すと発表した。総計で6000億円規模のユーロ建てとドル建て債券が対象になる。債券を買い戻す経営体力があることを投資家に示し、金融市場の不安を鎮めることを狙う。ただ今回の措置だけで信認が回復できるかは見えていない。

 同行が12日午後に発表した緊急声明によると、買い戻す対象は30億ユーロ(4000億円弱)のユーロ建て債券と、20億ドル(2200億円)のドル建て債券。信用不安の発火点となっていた高リスクの偶発転換社債(CoCo債=ココ債)は対象に入っていない。

 自己資本を増やすために発行したココ債を買い戻せば、自己資本の減少につながるとの判断があったとみられ、ドイツ銀行筋は12日「自己資本は十分な厚みを維持したい」と日本経済新聞に語った。ココ債をあわてて買い戻せば、「危ない」ということを自ら認めることにもつながりかねなかった。

 同行は「潤沢な流動性があるため、こうした有価証券を買い戻すことができる」との表現を声明文に盛り込み、財務体質の健全性をアピールした。財務担当の経営幹部も同日、従業員向けのメッセージで「2015年末時点で2150億ユーロの流動性準備がある」と強調。資金繰りには窮していないと説明した。

 ドイツ銀行は経営不安説が取り沙汰され、株価は一時、年初の6割の水準にまで下げていた。債券買い取りの発表後、同行株に買いが入った。

 ただ経営再生がこれで完了するわけではない。08年の米リーマン・ショック後、ドイツ銀行では金融商品の不正取引が相次いで明るみに出て、不祥事の処理がずるずると長引いた。昨年になってようやく経営トップを刷新し、本格的な経営再建に取り組みはじめたばかりだ。

 不正取引など過去の不祥事に伴う巨額な訴訟コストは16年決算でも重荷となる。不採算地域からの撤退や人員削減に伴うリストラ損失も重くのしかかる。明るさが見えるのは早くても17年だ。

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