口臭が気になる人は意外と基本的なところを見落としている可能性があります。口臭の原因は歯垢や歯周病、体調不良、ストレス、病気など様々ですが、基本を押さえておかないと誰でも口臭は出てしまいます。
自分の経験も交えつつ、口臭の原因と確実な対策の仕方について、メモしておこうと思います。
目次
口臭チェックの仕方
まず口臭があるかどうかのチェックの仕方ですが、一番簡単なのは両手にハァーと息を吐いて臭いをかぐことです。これをさらに臭いを分かりやすくするには、袋やコップに息を吐きかけて封をし、一度臭いの無い新鮮な空気を吸ってから改めて閉じ込めた息の臭いをかぐことです。そうすると新鮮な空気と比較できるので、分かりやすいんですね。
口臭が無いとどうなるかというと、例えば両手にハァーと吐いて臭いをかいだとき、手の臭いしかしません。実際には少しはしてるのかもしれないけど、あるんだかないんだか分からないぐらいです。
それでは次に、口臭の気になる人が案外陥りがちなのではないか、という点についてまとめていきたいと思います。
口内にモノを残している
口臭対策のためにまず最初に確認すべきことは、口の中に何か残っていないかどうかです。口の中に食べカスや歯垢、歯石、虫歯、歯周病などがあれば、それは必ず口臭の原因になります。だから口の中にできるだけ何も残さないようにしなければいけません。
これ、すごく当たり前のことなのですが、口臭が気になる人の中には意外とこれができていない人もいるのではないかと思います。では、どうすれば口内にモノを残さずに済むのか?
デンタルフロスは絶対に必要
リーチ デンタルフロス ワックス加工
歯ブラシで歯を磨く。歯と歯茎の間、奥歯、歯の裏側などは特に磨き残しが起こりやすいので気をつけて丁寧に、細かく振動させるように磨く。奥の方まで届くように、できるだけ小さめのブラシを使う。もちろん電動歯ブラシを使ってもOK。これらは口内ケアの基本中の基本だと思います。
しかし、これだけでは足りません。なぜなら、これだけだと歯と歯の間に挟まっている食べカスや歯垢が取れないからです。これはデンタルフロスを使ったことのある人ならご存知かと思います。使ってみると、意外と食べカスが歯間に残っていることに気づきます。
よく「歯磨きしても口臭がする・・・」という人がいますが、歯磨きだけじゃ食べカスや歯垢が取りきれないのだから、やがてその食べカスや歯垢から悪臭が出てくるのは当たり前です。口の中のモノの異物を全て除去し、かつ病気や過度なストレスのない健康な状態があって、初めて口臭は消えます。デンタルフロスを使わずに完全に口臭を消すことは不可能です。
デンタルフロスにはワックス付きとワックス無しがあります。ワックス付きは滑りやすく、耐久性があり、歯と歯の隙間が狭い所でもスルッと入りやすいです。ワックス無しは滑りにくい分、モノを除去する力が強いです。どちらが向いているかはその人の歯の隙間の大きさなどによるので、試してみて自分にあっていると思う方を使います。誰でも無難に使えるのはワックス付きです。
デンタルフロスを使う時は、歯の間だけでなく、一番奥の歯の向こう側もこすることを忘れないでください。とにかく食べカスと歯垢をひとかけらも残すことなく除去することが重要です。
フロススレッダー。裁縫の糸通しみたいなもの
また、矯正中でもデンタルフロスは使えます。歯と器具の隙間に糸を通すようにしないといけないので結構面倒なのですが、口臭をしっかり消すなら必須です。ちなみにその時はワックス付きを使うことを強くお勧めします。ワックス無しだとフロスが器具に絡まって取れなくなってストレスMAXです。奥の方の歯は手でフロスを通すのが難しいので、そういうときは『フロススレッダー』を使うといいです。
ちなみに矯正治療中の歯医者での定期クリーニングでは、最後の仕上げにデンタルフロスを使います。やはりデンタルフロス以外に、歯間の食べカスや歯垢を取りきる方法が無いのでしょう。このことからも、口臭対策にデンタルフロスが欠かせないことが分かります。
洗口剤を使う
口内の菌を殺菌・抑制するのに、洗口剤が有効です。歯医者が採用している洗口剤に『コンクールF』というのがあります。「どうしてもこの洗口剤がいい!」というこだわりが無い場合は、これでいいと思います。水で薄めるタイプなのですが、一度に数滴しか使わないので、これ1つ買っておけば何か月も持ちます。効果もコストパフォーマンスも相当いいです。
歯医者で歯石を取る
口臭が気になる人は、中にはあまり歯医者に行かないという人もいるのではないでしょうか。しかし、どんなに丁寧に口内ケアをしていても必ず歯石はできます。これは歯石除去のために定期的に歯医者に通ってみて痛感しました。
歯石除去のために歯医者に行った時、前回歯石除去を行ってからかなり真面目に歯磨きをしていたので、「今回は歯石無いんじゃないかな」と密かに自信がありました。しかし歯科衛生士さんに先のとがったやつでカリカリやられて「これ、歯石です」と見せつけられました。歯科衛生士さんが美人だったので余計にショックでした。
というわけで、歯石による口臭の対策には今のところ定期的に歯医者に行くしか方法がありません。そのうち自宅で歯石を取れる時代が来るのかもしれませんが、今は無理です。どれぐらいの周期で行く必要があるかはその人の唾液の性質などによって変わるのですが、大体1~2か月ぐらいに1度は行く必要があるようです。
虫歯や歯周病があったら治す
歯医者にいけば、歯石だけでなく虫歯や歯周病が無いかどうかもチェックしてもらえます。もしあったら当たり前ですが口臭の原因になるので治します。
不調による口臭
もう一度確認しておくと、口臭対策で重要なのはまず口内のモノを徹底的に除去することです。食べカス、歯垢、歯石、虫歯、歯周病。全部除去し尽くすつもりでやります。何かが残っていれば多かれ少なかれ口臭の原因になります。
そして、口内のモノを除去してもまだ口臭がある場合は、他の原因があります。それを潰さないといけません。まずは体の不調によって起こる口臭についてです。
鼻の不調
青の矢印まで常温の紅茶を入れ、赤の矢印まで98度のお湯を入れる。すると体温に近い温度の液体になる。さらにサーレSを入れると体液に近い塩分濃度になり、ツーンとならずに鼻うがいを行える
鼻が病的な状態だと痰(たん)が蓄積し、それが口臭の原因になることがあります。鼻風邪や副鼻腔炎などです。
鼻を良い状態に保つには、日ごろから鼻の中に菌をためないようにすることが有効です。そのためには鼻うがいが有効です。耳鼻咽喉科に行った時、ステロイド入りの点鼻薬(ステロイドは点鼻薬の場合ほとんど副作用が無いので使いやすい)を処方され、鼻うがいを習慣にすることを勧められました。おかげでいつも鼻が通るようになり、楽ちんです。
ちなみに、私は鼻うがいに紅茶を使っています。以前はただのお湯で鼻うがいをしていましたし、耳鼻咽喉科でも教わったのはお湯を使う方法だったのですが、紅茶に高い殺菌効果があることが気になり、試しに紅茶で鼻うがいをやってみました。その結果、ただのお湯より紅茶の方がより効果が高い気がします。お湯のときよりも鼻がスッキリするし、その状態が長持ちするのです。ただしこれは私個人の判断でやっている方法なので、もしやる方は自己責任でお願いします。
具体的には、『ハナクリーンS』に最初の線のところまで無糖の紅茶を入れ、そこから次の線までポットのお湯(98度)を入れます。すると大体38~40度ぐらいの温度の紅茶湯ができます。それに『サーレS』
を一袋入れ、ふたを閉めて軽く回すように振って溶かして、鼻うがいをしています。全くツーンとしないし、楽に作れるので重宝しています。
胃などの不調
胃が悪いからといって、胃から食道を通って臭いが上がってきて口臭になる、ということは実はありません。ゲップだけは別ですが、ゲップをしない限り関係ありません。しかし、胃が悪いと唾液の分泌が減って口内が乾燥することがあります。唾液には殺菌効果がありますので、それが減ることで口内の細菌が増殖し、口臭が出やすくなります。
他にも、糖尿病になると口臭にアセトン臭が混ざります。甘い臭いです。肝不全では揮発性硫黄化合物やアンモニア臭が、腎不全では人工透析をする人の場合はジメチルアミンなどが増加します。
このように病気があると口臭が悪化することがあるので、口内の異物を除去しても口臭が解決しない場合は病気を疑い、もし病気があれば治療することが必要です。
精神の不調
精神が不調に陥ると口臭が悪化することがあります。ストレスや緊張が極度に高まった時に口臭がひどくなった経験をしたことがある人は少なくないと思います。自律神経に問題が起きると唾液量が減ったりして、口臭が悪化するのです。ストレスや緊張を自在にコントロールするのは難しいですが、せめて睡眠をできるだけとるなどして、自律神経が乱れないようにするといいです。
不調による口臭も口内ケアで軽減する
こういった不調による口臭は、どうしても対策に限界があります。なかなか完治しない病気もあるし、ストレスや緊張も完全に無くすことなんてできません。そういう時に少しぐらい口臭が出てしまうのは仕方ないでしょう。
しかし、普段から口内にモノを残さないようにしていれば、不調のときの口臭もかなり軽いものに抑えることができます。そういう意味では、不調による口臭対策のためにも、やはり普段から口内にモノを残さないようにしておくことが重要です。
生活習慣による口臭
口臭が気になる人は、気づかないうちに口臭を悪化させる習慣を身につけている可能性があります。
舌を磨いて傷つけている
舌を磨き過ぎると舌表面を傷つけてしまい、かえって口臭が悪化するといわれています。舌は磨くというよりも、優しくなでるようにして、ぬめりを取るだけにとどめるようにするといいです。
交感神経を活発にする飲食物
コーヒーにはカフェインが入っていますが、カフェインには交感神経を活発にして、唾液量を減らしてしまう作用があります。コーヒーの臭いそのものよりも、交感神経を活発にしてしまうことが口臭の原因になります。こういう興奮作用がある飲み物や食べ物には気をつけたほうがいいです。
口呼吸
口呼吸をすると口の中が乾燥して細菌が繁殖しやすくなるので、当然口臭が悪化します。口呼吸は特に良いことがないので、もし口呼吸の習慣がある人は鼻呼吸に変えたほうがいいです。寝ているときのどうしても口呼吸をしてしまう場合は、口閉じテープなどを使って鼻呼吸の習慣を身につけるという手もあります。
思い込みなのか事実なのかという疑心暗鬼
自分に口臭があって、人に臭いと思われているのではないか、という思い込みを持っているだけの人もいます(自臭症)。この場合は気にしすぎないようにしたほうがいいですし、もしどうしても気になってしまうなら精神科や口臭外来で面接療法による治療を受けられます。
しかしその逆に、自分の口臭が思い込みによるものじゃないか、だからあまり気にしない方がいいんじゃないか、と思って、実は本当に口臭がある、というパターンもあります。
こういう疑心暗鬼の状態から脱するには、まず口臭を徹底的に消してしまうことが確実だと思います。食べカス、歯垢、歯石、虫歯、歯周病など、口内の問題を全てクリアすること。健康診断や人間ドックを受けて、体のどこかに問題があればそれを治療すること。口臭を悪化させる習慣を(少なくとも一旦は)やめること。まずはこういう基本を徹底して、口臭の原因をできるだけ取り去ってみることです。それで大抵の人は気にならなくなるのではないでしょうか。
もしそれでも口臭が気になるなら、そのときは思い込みの可能性を疑い、精神科や口臭外来で診てもらえばいいと思います。まずは口臭対策を(中途半端にではなく)徹底的に行うことが重要です。