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拉致被害者家族「新しいルートで交渉を」
2月13日 0時13分

拉致被害者家族「新しいルートで交渉を」
日本政府が、北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイルの発射を受けて、独自の制裁措置を決定したことに対し、北朝鮮は12日夜、拉致被害者を含む日本人の行方不明者の調査を12日から全面的に中止し、調査を行う「特別調査委員会」を解体すると発表しました。

拉致被害者、横田めぐみさんの母親の早紀江さんは「あの国らしいやり方だと思います。拉致被害者を取り戻すことは、政府が命がけでやらないといけないことで、どのような状況であっても、家族が元気なうちに子どもを取り返してほしい。おととしの合意に基づく交渉が難しいのであれば、新しいルートで交渉を進めてほしい」と話しました。
拉致被害者の家族会代表で、田口八重子さんの兄の飯塚繁雄さんは「日本政府が制裁の実施を決めたことで、北朝鮮が調査を打ち切ってくることは、ある程度予想していた。そもそもおととしの合意に基づく交渉では、肉親の帰国が実現するのは難しいと思っていた。政府には新たな枠組みで、拉致被害者の確実な帰国につながる交渉を進めてほしい」と話しました。
田口八重子さんの長男の飯塚耕一郎さんは「合意が結ばれてから1年半という時間が浪費された形で、八重子さんに申し訳ない気持ちです。ただ、おととしの合意には、生存者の存在が隠されたまま幕引きされる危険性があったので、政府は拉致被害者の帰国を見定めることができるルートと交渉を進めてほしい」と求めました。

熊本市出身の拉致被害者、松木薫さんの姉の斉藤文代さんは「まだニュースを見たばかりで何も分かりませんが、拉致被害者の救出が遅れることにつながらないか、心配が募ります」と話しました。

拉致被害者、有本恵子さんの父親の明弘さんは「調査中止は残念だが、今回は事実上の弾道ミサイルを発射した北朝鮮側が原因を作っている。これまでも北朝鮮の態度が軟化したことがあったので、時間をかけて待つしかなく、日本政府には、日米韓の同盟を強化して、より強い態度で臨んでほしい」と話しました。

鹿児島県出身の拉致被害者、市川修一さんの兄の健一さんは「調査委員会が設置されてから1年半以上がたっても、北朝鮮が不誠実な態度を続けてきたことを考えると、このまま調査が行われても被害者の帰国にはつながらないと思っていました。日本政府にはこれを機に、被害者全員を取り戻すため、本気になって知恵を絞り、解決に向け積極的に取り組んでいただきたい」と話しました。

札幌市出身の拉致被害者、石岡亨さんの兄の章さんは「状況を悪化させることが目に見えているのに、こうした対応をとる北朝鮮の姿勢に、あきれ返ってしまった。帰国を待ち望む私たち家族の声は届いていないのだなと改めて感じた」と話しました。

鳥取県米子市の拉致被害者、松本京子さんの兄の孟さんは、「今回の再調査で妹の消息につながる何かが出てくるのではと思っていただけに、とても悔しい。しかし、北朝鮮が再調査を中止しても私たちは諦めるわけにはいかない。何とかして拉致被害者を連れて帰れるよう、政府は国連などと連携しながら、粘り強く交渉してもらいたい」と話しました。

特定失踪者問題調査会は

拉致の可能性が排除できない行方不明者の調査をしている「特定失踪者問題調査会」の荒木和博代表は「行方不明者の家族は、いつまでも回答を出さない北朝鮮の調査に失望していたので、驚きはないと思う。政府は北朝鮮の内部で何が起きているかを解明して、日本人の帰国につながる冷静な取り組みを求めたい」と話しました。

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