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ノルウェーの小さな街にメンタルが強くなる秘密があった?
Inc.:寒い冬は嫌なものですよね?
冷たい風が耳を切り裂き、寒さは骨まで染み通り、薄暗い空が心まで暗くします。
ベッドから出たくなくなります。エネルギーが湧かなくなります。とにかくこうしたものすべてが嫌になります。
また、ただ嫌な気持ちがするだけではすまない人たちもいます。彼らは季節性情緒障害に陥り、極度に衰弱してしまいます。
スタンフォード大学の研究者Kari Leibowitz氏は、ノルウェーのトロムソに住む人たちが、冬とどんなふうに付き合っているのか知りたいと思いました。
トロムソは北極圏から321キロに位置しています。1年のうち2カ月間は、太陽が水平線の上に顔を出さない島です。にもかかわらず、7万もの人がこの地に住んでいます。
そして、不思議なことがあります。住民たちは誰も、不幸そうには見えないのです。
少なくともLeibowitz氏にはそう見えました。そして彼女は、人間と、人間が問題に対処する方法に興味を持つようになりました。特に、暗くて陰鬱な気候を生きているノルウェーの人たちが、どうして過ごしているかを知りたくなったのです。
Leibowitz氏がたどり着いた仮説は、彼らが持つマインドセットに秘密があるというものでした。
ノルウェーの人たちは冬の到来を憂鬱な出来事だとはまったく考えていません。むしろスキーができる日を待ち焦がれています。また、スキー以外にも彼らが心待ちにしているものがあります。コーセリ(Koselig)です。
コーセリとは、ノルウェー語で、寒い冬を暖かく快適な家でゆったりと過ごすことを表す言葉です。もちろんこれはポジティブな感情です。心待ちにしない理由はありませんよね?
Leibowitz氏は、トロムソの人びとのマインドがどのくらい強くてポジティブなのかを測るために、「冬期マインドセットスケール」を作成することにしました。
Leibowitz氏は次のように書いています
ノルウェーでの研究結果が示しているのは、ポジティブな冬期マインドセットが、より大きな生活の満足、個人の成長につながるチャレンジを求める意欲、ポジティブな気持ちと関連があるということだ。
悪いことばかりじゃない、良いこともたくさんあるのだと自分に言い聞かせるだけで、どれほどのことが成し遂げられるのでしょうか?
どうして、ノルウェーのジェダイたちは、世界の多くの人たちにはない「マインドトリック」を使えるようになったのでしょうか?
私にとって冬の到来とは、新興宗教の勧誘に来たスーツ姿の男が、玄関口にやってくるのと同じくらいのうれしさしかありません。
冬になると憂鬱になるので、私は12月のほとんどと、3月までの何週間かを暖かい場所へ逃避して過ごします。
私のメンタルが弱いのでしょうか? 私のマインドセットが英国の上流階級のあごより弱いということでしょうか?
あるいは、ノルウェーの人たちはこっそり静脈にアルコールを注射しており、厳しい寒さを平気でやり過ごせる秘密を隠しているだけ?
マインドセットに関する議論は、たいてい、自制心やメンタルの強さといった話題を扱っています。心の芯を鍛える方法はたしかに存在します。
しかし、寒さが耳をしびれさせ、目の玉を凍らせて、冷たい風が骨に染み通るとき、それでも人生は良きものだと自分に言い聞かせるには、どれくらいのメンタルの強さが必要なのでしょうか?
トロムソでは、1月の平均気温はマイナス4.4度です。6月の平均気温でも11.8度しかありません。
ここで、私の心に1つの事実がよぎります。トロムソは明らかに貧乏な地域ではないということです。ノルウェーは世界でもっとも豊かな国(英国レガタム研究所調べ)であり、トロムソは石油やITなどの好調な産業の拠点でもあります。
地域のこうした豊かさが、住人たちのメンタルの強さや幸福に少しは影響を与えているのではないか? と私は考えてしまうのです。
あるいは、冬の陰鬱さが私をいじわるな人間にしているだけなのでしょうか...。
The Secret to Being Mentally Strong May Be Hidden in a Small Norwegian City|Inc.
Chris Matyszczyk(訳:伊藤貴之)
Photo by PIXTA.
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