ビール大好き女子の、リアルなおっぱい事情。
こんばんは。このたびリアルなおっぱい事情を語らせていただくビール大好き女子マツエです。
タイトルにつられちゃった男子のみなさま、ごめんなさい。これ、エッチな記事じゃありません。女子って言っちゃったけどアラサーだし、1歳半の息子の育児に追われる生活感でいっぱいなママだし。でも今、かつてないほどまじめに、おっぱいのこと考えてるんです。
いまの私にとってのおっぱいとは、赤ちゃんの生命維持に必要な食料であり、ぐずり泣く赤ちゃんの口をふさぐ最強兵器であり、それでいて母乳の出方やらメンテナンスにとても気を使う、とってもデリケートで気分屋な相棒。
パパにはわからない?
だからこそ伝えたい。
おっぱいとビールのお話。
大好きなビールとさよならした日
無類のビール党だった私がビールを断ったのは、2年前の冬の日。ある日、いつものように口にしたビールがあまりにおいしくなくて、体の異変=妊娠に気付きました。それから1年弱の禁酒生活を経て無事に出産。元のんだくれ女子も、なんとか母になることができました。
ありがたいことに、たくさんの祝福メッセージをいただいたのですが、(主に独身男子からの)「落ち着いたら飲みに行きましょう!」というメッセージ。
これ、残酷。
なぜなら、産後のママはお酒飲めない。これからは授乳という任務があるのです。
↑世の中には授乳のハウツー本がたくさんあるってこと、出産して初めて知りました。
授乳という試練
よく、赤子は3時間おきにおっぱいを飲むといいますが、このリズムを崩してしまうとどうなるか。
赤子がおなかをすかせて泣きまくるのはもちろんですが、母のおっぱいもありえなく張り、熱を持ち、さらには40度の発熱を伴うおそろしい病「乳腺炎」にかかってしまいます。
しかも、生まれて間もない赤子は3時間なんてもたない。昼夜を問わず求められれば求められただけ、おっぱいを差し出す必要があります。
慢性的な睡眠不足のせいか、自分はおっぱいに手足がちょろっとついたような生き物なのか。私はおっぱいのための存在でしかない、という悲しい自覚めいたものまで生まれてきてしまいました。
この生活がいつまで続くのかと思うと気が滅入ってきて、すでに卒乳した先輩ママの話を聞いたり、児童館の卒乳講座に出席して「円満な卒乳」のイメージトレーニングをしてみたり。頭の中がおっぱいに占拠されて、半ばノイローゼ気味になってきたこともありました。
それでも…
我が子がものすごい早さで成長し、赤ちゃんから子どもへと変化していく様子を見ているうちに、授乳という行為に愛おしさをかんじるようになりました。
どこで覚えてきたのかわからないようないたずらをしたり、母に隠れてお菓子を食べようとする悪ガキが、おっぱいを飲んでいるときは赤ちゃんになります。生まれた日に、全身全霊の力を込めて必死でおっぱいを吸っていた、ただひたすらに心許ないかわいい存在だった頃を思い出させてくれるのです。
おっぱいを飲ませている限りちらつく乳腺炎のリスクは怖いけれど、なるべく長くおっぱいを飲んでもらいたいな〜とまで思うようにまでなりました。
↑赤ちゃん時代を終えて、こどもになっていく。そんな過程を見守る親心、共感できすぎて目がふやけました。
いたずら王子の覚醒
だがしかし。こんなほんわかした幸せはつづかない。1歳2ヶ月になった王子は、ある遊びに夢中になってしまったのです。
それは、
禁断の、
おっぱい噛み遊び。
思いっきり母のおっぱいを噛んで、変な顔をしてニシシと笑う。それだけなのですが、これは痛い。
育児書には、
おっぱいを噛まれたとき、母は決して反応してはいけない。 こどもは母のリアクションをおもしろがって、繰り返すようになってしまう
とあります。
しかし、赤子といえど渾身の噛みは本当に痛い。ポーカーフェイスで授乳しようとしては王子の渾身の噛みを食らって絶叫、という流れが完全にできてしまったのです。寝かしつけようとしては噛まれて喧嘩。結局王子は泣きながら力つきて就寝。という夜が1週間は続き・・・ ついに決意しました。
卒乳を。
その日は、ついに、来た。
児童館の講座で習った通り、卒乳決行Xデーは家族の協力が得られやすい連休の初日を選びました。母親の胎内にいる頃からおっぱいを吸う練習を積み重ね(←エコーで見える姿はなかなかかわいい)、生まれてこの方3時間おきのおっぱいを欠かしたことがなかった王子が、この晩は約10時間、おっぱいを断つことになります。
途中で泣くことは必至ですが、そこはパパになんとか頑張ってもらうことにして、私はリビングで待機。産後初めて、子どもと違う部屋で寝ることになりました。
かわいい我が子のおっぱい卒業は、とても寂しい。しかも、一晩中飲んでもらえないおっぱいは母乳過多でものすごく痛い。飲んでもらえば楽になるし、我が子も泣いている。飲んでもらおうかな。卒乳やめようかな…
心とおっぱいが痛すぎて、断固たる決意が揺るぎそうになりました。
救世主 グランドキリン降臨。
そんな危機に陥った私を助けてくれたのは、1本のビールでした。
GRAND KIRIN THE AROMAは私が断酒したあとに発売になった銘柄で、お店で見かけるたびに、どんな味なのかとても気になっていて。ものすごく飲みたくて飲みたくてたまらず入手してみたものの、自宅で眠りかけていた1本でした。お酒を飲んでしまえば、おっぱいをあげることはできません。母になった私にとって、この小瓶は、決して栓を開けてはいけない玉手箱のような存在。
でも。
母になって初めての大きな決意がゆらぎそうな今こそ、GRAND KIRINの出番だと感じました。もうすでに鮮度は落ちてきているかもしれないけれど、こんなにも長い間恋焦がれたこの1本を開けられるタイミングは、今しかない。
勢い良く栓を開けると、一筋の湯気が飛び出し、マスカットのようにフルーティーなホップの香りが立ち上りました。期待通り、いや、それを上回るおいしさ。2年ぶりのアルコールにとても酔いやすくなっていた私は、330mlの小瓶1本であっという間に酔っぱらいました。
私はリビングでわんわん声を上げて泣きながら、寝室から聞こえてくる最愛の我が子の泣き声を聞きながら、2年間飲んできたノンアルコールビールよりもさらに深いコクとなめらかな口当たり、かつて大好きだったホップの華やかな香りを味わいました。
おっぱい、ばいばい。
3日3晩、王子は泣き続け、私はビールを3本空けました。そして4日目になると、もう王子は泣きません。おっぱいを飲もうともしません。朝までぐっすり眠るようになり、私も産後初めての8時間睡眠を満喫しました。
卒乳成功です。
おっぱいを噛まれて痛いから。完全に自分の都合で卒乳したのに。しばらくは寂しくて、王子の顔を見ながらセンチメンタルになったりもしていました。でも、いつかはおっぱいを卒業しなきゃいけない。大人の階段上ったんだ。そう自分に言い聞かせながら、涙をこらえました。
おひさしぶり、ビール。
卒乳から4ヶ月。
王子は今では、プラレールで遊びながら、『おかあさんといっしょ』を見ながら、パンを食べながら、ノールックでもおっぱいを触ってくるようになりました。ちょっと体をずらして逃れようとしても、執拗に追ってきます。どうやら他の赤ちゃんと比べても、うちの王子のおっぱいへの執着は強いみたい…
私はというと、念願のビール再デビュー。2年のブランクを経て、ものすごく酔っぱらいやすくはなっていますが、寝かしつけ後の晩酌ビールはやはり至福。酒屋さんのビールコーナーを巡回するという楽しみもできました。
でもね。
いまや生命を維持するための栄養源ではないおっぱいを、ここまで求めてくれるなんて。動物としての本能ではなく気持ちで、体ではなく心で求めてくれているのね。授乳は卒業したけど、むしろ私たち母子は、さらに仲良くなれたよね。
と、親バカはさらに進行中です。
いつか一緒に乾杯できる日を楽しみに。その時までに、母はおすすめのビールを探しておくよ。
マツエ
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- ビール大好き女子の、リアルなおっぱい事情。 - 2016年2月12日