改憲の必要性、安保法制廃止 建国記念の日、各地で訴え [福岡県]
建国記念の日の11日、県内各地で、改憲を訴える団体による祝賀式典や護憲団体などによる反対集会があった。夏の参院選を前に、安倍晋三首相が改憲論議を進めることに強い意欲を示す中、それぞれの立場で国の在り方を考えた。
福岡市博多区の福岡国際会議場では、日本会議福岡主催の「日本の建国をお祝いする集い」があり、約千人が参加。安倍首相のブレーンとして知られる伊藤哲夫・日本政策研究センター代表が、建国記念の日が神武天皇が即位したとされる「紀元節」に由来することなどを解説し「明治憲法は建国の物語とともに発布された。歴史を無視した現憲法でいいのか」と訴えた。
飯塚市の立岩公民館では、同市郷友会と日本会議福岡筑豊支部が祝賀式を開き、約250人が参加した。郷友会の小西泰巳会長が「憲法の中で何ができるかではなく、今何をすべきかを考えて憲法を合わせるべきだ」と主張。元航空自衛官の宇都隆史参院議員も「占領期に作られた今の憲法は国民の安全を守る規定がない。国際環境が変わるにつれて進化を」と強調した。
一方、紀元節が天皇を神格化した国家神道思想や軍国主義と結び付いていたとして、祝賀に反対する人たちも。北九州市小倉北区のバプテストシオン山教会では「信教の自由を守る日集会」(バプテスト北九州地方連合主催)があり、約150人が出席。礼拝に続き、西南学院大の松見俊教授が聖書の一文などを引用しながら「本来の民主主義は少数者の意見や思想、権利を尊重することにあるが、現代はそれがないがしろにされている」と指摘した。
弁護士や大学教授らでつくる「ちくご意思表示の会」は、久留米市の市民会館で安全保障関連法制の廃止を求める集会を開催。主婦や牧師らが「子どもを戦場に送りたくない」などと壇上で訴え、約170人が耳を傾けた。閉会後、「戦争法は憲法違反」などと訴えながら約2キロをデモ行進した。
=2016/02/12付 西日本新聞朝刊=