債券急落、長期金利が0.065%に-政策対応観測や流動性供給結果で
2016/02/12 13:46 JST
(ブルームバーグ):債券相場は急落している。長期金利は一時0.065%を付けた。日銀の黒田東彦総裁らと安倍晋三首相の会談で株安などの政策対応が図られるとの観測に加え、今日実施の流動性供給入札結果を受けて、売りが優勢となっている。
12日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の341回債利回りは、日本相互証券が公表した前営業日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低い0.00%で開始。その後は水準を切り上げ、午後に入ると0.065%と4日以来の高水準を付けた。その後は0.055%に戻している。
長期国債先物市場で中心限月3月物は、午後に入って水準を切り下げ、一時は前営業日終値比72銭安の151円17銭まで急落した。
JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は、「債券が売られたのは、黒田総裁と安倍首相が会談との報道を受けて、為替介入が入って株価が反転する可能性が出て、マイナス金利強化の可能性が低下するという見方があると思う。これまで日銀がマイナス金利政策の幅を拡大していくとの見方から債券は買われていたが、銀行株が下落して、市場ではマイナス金利政策が有効なのかと疑念が出てきた」と話した。
財務省が午後発表した流動性供給入札(発行額5000億円)の結果によると、募入最大利回り較差がプラス0.015%、募入平均利回り較差はプラス0.007%となった。今回の対象銘柄は残存期間5年超から15.5年以下の国債。投資家需要の強弱を示す応札倍率は2.87倍と、前回同年限の3.12倍から低下した。
11日の米国債相場は小幅続伸。米10年債利回りは前日比1bp低下の1.66%程度で引けた。一時は1.53%と2012年8月以来の水準まで低下した。米株相場は続落。S&P500種株価指数は同1.2%下げた。一方、欧州債市場ではドイツ国債が値上がり。利回りは8年物までマイナスとなり、過去最低を更新した。この日の東京株式相場は大幅下落。日経平均株価は一時800円を超す下げとなり、1万5000円を割り込む場面もあった。
みずほ証券の辻宏樹マーケットアナリストは、「世界的なリスクオフの地合いで円高、株安、原油安が進行しており、債券市場のフォロー要因は多い。 しかし、相場が上昇したところでは流動性供給入札や来週の20年債入札への警戒感がくすぶる。足元不安定な相場環境が続く中で金利の落としどころが見えない展開が続いており、こうした供給イベントを前に相場を買い上がる動意は生まれにくい」と指摘していた。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net;東京 山中英典 h.y@bloomberg.net
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更新日時: 2016/02/12 13:46 JST