それ自体は、別に悪いことではないけれど。
人はまず、己というものを確固として持たなければ、何も成せないし何もしてあげられない。
自分を愛していない者に何かの結果が出せるほど、世の中というものは甘くない。
誰しも、芯の部分は自分の都合で生きている。
それは私たちにしても同じこと。
そう、自分が気持ち良いから誰かを愛したり、助けたりするのは間違いじゃない。
自分の中に喜びを見出し、それを求めることが悪徳と見なされるようなら、ほら、誰も生きていけないでしょう?
だから不本意で、嫌なことばかりあえてするのが尊いなんて、そんな理屈はどこにもない。
そういう生き方をしているように見える人達も、要するに被虐的な快感が好きなだけ。
生き物ならなんであろうと、まずは自分が笑うために生きている。
その本能を否定するのは、きっと誰にもできないことだもの
[摩多羅 夜行]
[天魔・紅葉]
その杓子定規な典型的なお題目で、心の底からマジになれんのかって聞いてんだよ、オレはさ。
[天魔・宿儺]
一度負けたら全部諦めて消えようだなんて、それこそ負け犬というものでしょう
ああ、潔いのと無責任なのは違うわなぁ
[天魔・母禮]
[天魔・宿儺]
だからこそ、ただ終わり逝くだけにはいかねえだろうが。
いつまでもこんな汚濁に浸かったまま、仲良しこよしでいられるか。
このまま薮蚊の如く潰れはしねえ。
そうだ、そんな程度であっていいはずないだろうが。
あの馬鹿が甲斐もなく、救いようのない馬鹿のまま、虫螻として消えてくなんてな……
煩わしくも好ましかったあの渇望を、敗北した塵と呼ばせない。
ゆえに。
オレは、絶対に認めねえ。
笑っちまうぐらい青臭かったあの勝利(せつな)を、くだらない有象無象へ変えてたまるか
[天魔・宿儺]
惚れたぜ、久雅の姫さん。
あんたのために俺は死のう
[坂上覇吐]
なるほど、そちらの怒りも理解できるが、だからといって化外の悲劇に付き合ってやらねばならない謂れはない
今現在、自分たちは、おまえ達の存在により圧迫を受けている。
それはそちらも同じだろうし、つまり共存はできないのだ
ならばこんな、どちらの側が正しいだの、過去に受けた屈辱だのと、言い争う議論に意味はない!
これは双方、生存を勝ち取るための純粋な闘争で、そこに負け犬の恨み言など混ぜるでないわっ
不愉快だし、共感してやるつもりもない
戦火によって己が土地が燃やされたなら、なんだ、つまらぬ。
その程度、勝利するまでやればいい
敗北を辛い辛いと抱きしめて、いつまでも死んだ誰かに拘るな。
虫唾が走る!
そもそも私は――お前のことが、気に入らない
[御門龍水]
失くしたものは戻らない。
彼はそれを誰よりも知っているからこそ、刹那を愛したのではなかったか
その煌きを、燃焼を、疾走したからこそ光と仰いだ。
それはすなわち、未来を信じていたからに他ならん
邪神の理、おぞましい。
自らそう弾劾し、器ではないと封じていたこの太極を、彼が憎悪の泥を纏ってまで展開したのは何のためだ
その先を願い、前を見ていたからだろう!
この泥濘の果てにも花は咲くと、信じていたからではないというのか!
それを貴様ら、そろいもそろって彼の憎悪に甘えよって!
それが貴様らの報恩か!
これが貴様らの絆なのか!
笑わせるなよ甘ったれども!
真に愛するなら壊せ!
彼もそれを望んでいる。
そしてこれは、我が君の遺命である!
[御門龍明]
オレが狙うのはいつだって勝ちだ。
だから最後に勝ち取らせてもらったぜ
勝利と死はまったく別のことだろう?
[天魔・宿儺]
…オレの人生はオレが主役、か。
なるほど、そういう手合いなわけだ。
しかしこういう類の大馬鹿はいつの時代になってもいるもんだな。
主人公は負けるはずない。
勝つからこその主人公。
そして、主役はこの俺だ、ってな
なかなかわかってるじゃねえか
おう、よく知ってるさ。
だから忠告してやるぜ。
そう、オレだからわかる。
オレにしかわからねえ。
もう一つ、主役の条件ってやつを教えてやるよ---神の玩具だ。
だから、もし本当におまえがそんな馬鹿げた存在だったなら、おまえに自由は何一つない。
玩具だから、役割は決められてる。
永遠に終わることのない既知感だ。
死なないから、負けるはずがないから、おまえは世界に必要な役割を演じなければならない。
そういう覚悟、おまえにあるのか?
[天魔・宿儺]
[坂上覇吐]
俺のせいで俺の女殺しちまったら、俺が俺を許せねえだろうがよッ!
[凶月刑士郎]
降って湧いたご都合主義や、神様の操り人形、玩具…
くだらねえ、どいつもこぞって端役だ。
自分で物語を作れねえのさ。
だからアレの細胞にもオレは絶対殺せねえ。
そうさ、人間ってのはああじゃない。
ままならなくて鬱陶しい現実にもちゃんと自分の足で立ってみせ、胸を張れる連中だろう?
[天魔・宿儺]
過保護だな。
まったく男とは、いつの世でもそういうところが幼稚だよ。
守るという言葉が大好きで、その行為に酔いしれたがる
それはそれで可愛いがね。
置物のように扱われる女の人格は無視ときた。
ああいうノリはつまるところ、自分の矜持を守っているだけであろうにな
そのこと自体、わたくしは自然であると思いますよ。
間違っているとは感じませぬし、殿御にそうされるのを好む女人もいるでしょう。
少なくとも、価値は認められているのですから
だが、おまえは違うわけだ
ええ…兄様には申し訳ないことですが
わたくしはわたくしの理をもって、わたくしが望むように動くのみです。
それが互いに想い合ってのものであれば、多少の食い違いはあっても結果はついてくるものでしょう
もしついてこなければ?
しょせんそれまでの仲ということ。
いや、あるいは、そうなることが美しいという意味ではないでしょうか。
何にしろ、己を通して後悔するなど有り得ませぬ。
常識かと
[御門龍明]
[凶月咲耶]
他人の名付けた心象に、おまえが引き摺られてどうするよ。
万能を謳う奴こそうつけだ。
天嶮の才あれば、何でも出来ると勘違いしてやがる
どれだけ優れた存在であろうと、個は所詮、ただの個だ。
耳触りのいい謳い文句に傾倒し、元の自分を売り渡すな
[凶月刑士郎]
【名言カ行の最新記事】