【コペンハーゲン=森本学】北大西洋条約機構(NATO)は10日、ブリュッセルで国防相理事会を開いた。ウクライナ危機で対立するロシアへの抑止力を強め、ロシアと接する東方の加盟国の防衛力を高めるため、東欧やバルト3国に交代で派遣する部隊を増強することで合意した。
NATOのストルテンベルグ事務総長は10日の理事会後の記者会見で「(東欧など)東方の加盟国におけるNATOの存在感を高めることで合意した」と語った。拡大の規模など具体的な措置の内容は今後詰める。東欧などでの演習の回数も増やし、部隊の派遣先の加盟国の防衛力強化にもつなげる。
ロシアへの抑止力の強化を巡っては、ロシアの脅威を訴えるポーランドなどから国内への常駐部隊の配備などを求める声が上がっていた。ただNATOは1997年にロシアと結んだ基本文書で、東欧やバルト3国に大規模な部隊を恒久的に追加配備しないと約束している。
このため東欧などへの部隊増強では、複数の加盟国が交代で派遣する部隊を増やす。NATOは基本文書には違反しないと説明しているが、ロシアの反発が予想される。
NATOの要である米国は2017会計年度(16年10月~17年9月)の国防予算案で、欧州の防衛のために前年度比4倍の34億ドル(約3900億円)を計上した。今回の部隊増強でも中心的な役割を担う見通しだ。
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