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アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と- 作者:一星

第二章 人里へ 一巻ダイジェスト部分

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三話 風狼討伐

 老ゴブリンに森狼フォレストウルフの居場所を聞いてみる。何度もやられているだけはあって、大体の棲家は掴んでいるとの事だ。ゴブ太君にその場所を覚えさせ俺の先導をさせる事にした。
 それを聞いたゴブ太君は、喜んで付いていくと言っている。その謎の忠誠心が怖いんだけど……。

 腰かけていた石から腰を上げ、ゴブ太君に先導を任せ森狼の棲家へと移動しようとすると、先ほどまで地面に伏せていたボスゴブリンが自分も行くと言い出した。
 ボスとしてのプライドが当然あるのだろう、俺の事もまだ認めてない様だし、ここは連れて行きこれから起こる事を見せてやろう。

 そういう訳で俺と二匹のゴブリンが、森狼の棲家を目指す。ポッポちゃんはずっと俺らから離れていて、時折視線に入るぐらいの距離を保っている。統制が取れていないゴブリンに、食われては困るので当分はこのままでいく。

 一時間ほど進むと、ボスゴブリンが怯えだす。こいつは森狼の棲家の場所を知っているらしく、大分近づいてるのだろう。この辺で自衛の武器くらいは渡しておこう、何故か余裕なゴブ太君には前に使った青銅のナイフを、ボスゴブリンには青銅の斧を渡す。
 殴って分からせたので俺に襲ってくる事もなさそうだ。

 武器の輝きに目を輝かせているが、それ以上に俺が急に武器を取りだした事に驚いていた。ゴブリンがこの手のアイテムを使う事は無さそうなので、この反応は当たり前なのかもしれない。

 二匹とも手に持った武器を確かめながら歩いている。程なくして俺の探知に多数の森狼が掛かる。数は十二なのだが、それとは別に一回り程大きい反応が同じ場所にあった。ボス狼って所だろう。

 ばれない様に気配の方向に近づいていくと洞窟が目に入る。どうやらここが棲家の様だ。探知の反応では全て中にいるらしく、外からでは森狼達の姿は見えない。大分奥にいるようだ。

 洞窟に入る気は起きないので、向こうから出て来てもらう事にする。二匹に下がる様に言い、洞窟から直線的な距離が取れる場所に位置取る。鉄の槍を数本地面に突き刺し、鉄のナイフを片手に持てるだけ取り出す。
 用意は整った。
 洞窟に向かって大声を上げて森狼を誘い出す。少しすると一匹の森狼が洞窟からゆっくりと出てきた。何かを咥えている所を見ると、お食事中だったようだ。
 俺はそいつに向かって、地面に刺しておいた槍を投擲する。投擲された槍は瞬く間に森狼を突き殺した。
 その時に森狼が出した声に反応してか、一頭また一頭と洞窟の出口へと動き出すのが探知で分かった。だが、襲われているとは思ってもいないのか、一気に来る気配が無い。俺としては助かる事だ。

 次の森狼が出てきた。槍に刺さっている仲間を見て、一瞬体が驚きで硬直したのが見えた。俺は迷わず槍を投擲する。これもまた森狼を突き殺した。
 二度目の断末魔は少し声が大きく、こちらに向かっている途中の森狼が足を速める。どうやら、何かが起こっている事に気付いたようだ。
 続々と出てくる森狼に、今度は鉄のナイフを手足を狙い投擲する。投擲術Lv3の腕ならばこの距離ならば外す事は無い。洞窟から出てくる森狼達が攻撃を食らって次々と行動不可能になっていく。
 残るは二匹の森狼と、最後尾を進んでいた気配の大きいボス狼だけだ。護衛の様にボス狼に付き添っている様で、固まって行動している。これは少し面倒くさい。
 探知の気配を頼りに、まだ視線に入っていないボス狼に向かって鉄の槍を投擲する。洞窟に飲み込まれた槍の行方が見えないが、護衛の一匹の気配が消えた。位置が急に移動したので、身をていしてボス狼を守ったみたいだ。
 次の投擲の前に残りの二匹が外に出てきた。自分の周りにある仲間の惨憺たる有り様に、怒りの唸り声を上げている。
 姿を見せたボス狼は森狼より二回りも大きく、灰色と黒の毛が美しい模様を作り出している。
 こちらに気付いたボス狼が、もう一匹の森狼を伴って俺に向かって駆けてくる。俺は森狼にナイフを投擲し、続いてボス狼にも投擲する。森狼はナイフを顔面に受けもんどり打って転び、その場で動かなくなった。
 ボス狼に投げたナイフは当たると思いきや、ボス狼の毛並みが激しく乱れだすと、俺の投擲したナイフが当たる前に何かに弾かれた。その後も更に投擲したナイフも同じように弾かれる。
 程なくして俺に近付いてきたボス狼が飛びかかってくる。だが、今の俺からしたら十分対応できるスピードで、横に一っ跳びしてやり過ごす。
 地面に着地しようとしているボス狼に向かって、今度は鉄の槍を投擲する。着地と同時に迫る鉄の槍を、更に毛並みを激しく乱し、弾こうとするが流石にこの重量の物は完全に弾けないらしく、体の一部を切り裂いた。
 怒りの咆哮を俺に向けてくる。その次の瞬間、ボス狼の口からこちらに向かって飛来する何かが、地面の土を巻き上げながら進んでくる。はっと思った俺は、マジックバッグから盾を取り出し、それを受け止める。まるで強風が吹いたかのような衝撃を受け、俺の後ろへと風が通り抜けた。

 今のは確かエルダートレントが撃ってきた攻撃だった。そうするとボス狼は魔法を使うって事だろう。ナイフを防いだあれも自分の周りにバリアーみたいな物を張っているのか。流石ボスだな。

 攻撃を防がれたボス狼は、牙をむき出してこちらを威嚇してくる。だが、その顔には戸惑いが見られる所を考えると、さっきの攻撃を防がれるのは想定外だったようだ。

以下、ダイジェスト

 ボス狼を倒した俺たちは、生け捕りにした森狼を連れて帰る。
 ゴブリンたちは、恨みを晴らすために、森狼たちの処刑をおこなった。
 ボス狼を倒したことで、元ゴブリンのボスも俺のことを、認めたようなので、彼は今後元ボスゴブリン、ゴブ元君と名付けることにした。
 殺した森狼は全てゴブリンたちに提供して、夜はようやく鳥以外の肉を食べられると思っていたら、ゴブリンたちは生で肉を食べだした。分かっていたけど、まさか本当にそうなるとは思っていなかった……。
 その日は保存してある食べ物を食べ、老ゴブリンから情報を仕入れて寝ることにした。
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