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アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と- 作者:一星

第二章 人里へ 一巻ダイジェスト部分

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二話 ゴブリン

 朝日を浴びて目が覚めた。
 寝起きの霞む目を擦りながら起き上がると、ゴブリンは先に起きていたようで、俺に向かってギィギィ鳴いて朝の挨拶をしている。

 はいはい、おはよう元気になった様だね。

 目を合わせて顔を見てみると、その目は何故かあこがれの先輩を見る乙女の目をしていた。

 えっ……? いや、君雄だよね? 腰に巻いてる毛皮から、たびたびポロリしてるのは、俺と同じものが付いてるんだよね?

 俺にはそっちの気は全くない。あれがもし可愛い男の子なら……いや無い。昨日の一件の所為な気がするが、あんな目で見られても困る。どうしようもないので、放って置く事にした。

 朝飯を用意してみんなで食べる。いい加減食わせるのが面倒になってきたので、手の拘束を解き自分で食べさせてみた。逃げた所で追いつくし、襲ってきたら今度は腕の一本でも折らせてもらえばいい。
 昨日一日見た限りでは、ゴブリンなら十匹位居ようが問題なさそうなのは分かったからね。

 手の拘束を解いてもゴブリンは、久しぶりに解放された手の感触を確かめているが、特に変わった様子も無く俺が渡したパンを食べている。おかわりのパンと水をやると、ギィギィ言いながらまた食べ始めた。
 そんな美味い美味い言いながら食べてくれると、こっちも嬉しくなるな。

 出発する準備が出来たので立ち上がると、ゴブリンも同じく立ち上がり、行きますか? 見たいな顔をしている。
 ポッポに聞いた方角を指差すと、進んで俺の前を歩き始めた。
 なんか完全に懐かれてる気がしてきたぞ。このパンの力は偉大って事か?

 俺の手に止まり甘えてくるポッポを撫でながら歩いていく。
 そういえば、大分最初の場所からは離れてしまったが、ポッポに群れは良いのかと尋ねたら、他の群れを探せばいいらしく俺に付いて着ても問題ないらしい。流石野生はその辺がドライだな。

 俺とポッポがイチャついていると、ゴブリンも構ってほしいらしく、しきりに俺に話しかけてくる。
 何か、村がどうとか、ボスなら大丈夫とか、そんな事を言っている。

 うん。ずっと曖昧すぎてスルーしてたけど、時間が経つにつれてゴブリンの言ってる事が、分かってきてるんだ。

 日本語をしゃべっている訳では無く、ただギィギィ言っているだけなのだが、何となく何を言ってるかが分かる。暇な道中幾らでも考え事が出来るので、度々考えていたのだが、これは俺が持っている加護のお蔭ではないだろか?
 確信は無いのだが、俺が持っているらしい加護の一つの、"多才"が働いてる気がするのだ。
 "多才"はステータスには表示されない、固定スキルと言うものらしく、俺がこれ程の多くのスキルを得る事が出来たのは、これが原因だと思っている。
 それがゴブリンとの会話でも機能して、段々と分かるようになって来ているのでは無いだろうか?
 ステータスに表示されない、固定スキルと言うものがある以上、もしかしたら言語もスキルでステータスには表示されていないが、普通のスキルと同じく熟練度があって、理解度に合わせたレベルが得られたりする可能性も考えられる。

 まあ、何にせよ言葉が分かるのは助かる。村とか言ってるし、少し話を聞いてみよう。

 そう考えた俺は、ゴブリンに話しかけてみる。俺が相手をしてくれるようになったのが嬉しいのか、ギィギィ鳴いている。
 名前を聞いたり、村とは何だと聞いてみたりすると、俺がしゃべっている事が通じ始めたのか、目を丸くして驚いている。

 「いや、お前から話しかけてきたんじゃん。何で俺が話すとビックリするんだよ」

 つい突っ込んでしまったが、これも理解できたらしく、頭をかいてギィギィ言っている。何それ恥ずかしがってるの?

 一度会話が成立すると、加速的に言葉が理解でき始める。
 小一時間ほど会話した所、ここから数キロの場所に、このゴブリンの集落が在るらしく、俺ならそこでボスになれるとしきりに勧めてきた。
 そんな所に留まるつもりは無いが、この鬱蒼とした森から出るヒント位あるかもしれない。リスクはあるが試す価値も同じぐらいに感じる。
 そう考え俺は一先ずゴブリンの村へと行ってみると事にした。

 ゴブ太君に先導されながら森を進む。
 えっ、誰だって? そりゃ名前が無いと言っていたゴブリンのゴブ太君の事だよ。分かりやすくていいネーミングだろ?
 元の進行方向から見ると、大分逸れているが許容範囲と考えよう。
 道中で見つけたアケビの様な木の実を、ゴブ太君とポッポが争うように取り合うと、ゴブ太君が手にした木の実を俺に食え食えと渡してくる。

 何この子いい子じゃない。それに対してポッポちゃん、そんな事を気にもせずに、木の実をむしゃぼる。君の忠誠心は一体何処に……。

 そんな俺の心境を感じ取ったのか、食べかけの木の実を咥えて持ってくる。普段なら食いかけだろうが頂くが、今は流石に要らないわ!
 別に険悪になんかなって無いよ。この程度のやり取りじゃ、俺とポッポちゃんの仲は切り裂け無いからね。

 目的地まで、半分程とゴブ太君が言う場所で、休憩を取り昼飯にした。今回はパンだけの内容に、肉が無い事に気付いたゴブ太君は落胆していた。俺も食わないんだ我慢しろ。
 食事も終わり、その場で寝っ転がり空を眺めていると、探知に気配が掛かる。この気配は知っていた、今も俺の服として大いに役立つってくれている森狼フォレストウルフの気配だ。
 俺は立ち上がり気配の方向へと気を向けていると、向こうもこちらに気付いたのか、その進行方向を変えこちらに向かってくる。
 今までの経験ではこれだけ離れていれば、気付かれる事は無かったのだが、上手く匂いでも流れたのだろうか?

以下、ダイジェスト

 森狼を難なく迎え撃つ。すると、死体は何時までも消えずに残っていた。どうやらダンジョンの中と外では仕組みが違うようだ。
 死体はゴブ太君が捌いてくれた。ゴブ太君はそれを背負って持っている。
 程なくすると、ゴブリンたちの住む洞窟へと辿り着いた。
 そこにいたボスゴブリンに襲われたので、反撃をして勝利する。
 暫定的に群れのボスとして認められた俺は、この群れの抱えていた問題である。森狼の群れを倒すべく、ゴブ太君と元ボスゴブリンを連れて、森狼の巣へと向かうことにした。
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