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アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と- 作者:一星

第一章 脱出 一巻ダイジェスト部分

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十二話 新たな敵

 採掘作業を再開した俺は、探知スキルで気配を探りながら採掘をしていく。目的はルーンメタルの採掘なのだが、中々見つから無いので、少しリスクはあるが探知スキルで気配を感じる方角に少しずつ掘り進めている。
 ミスリルが出た深さでもルーンメタルの採掘を試みた所、鉱石のサイズが小さいながらも、掘り出せることに気付いたので今では両方が掘れる深さで作業をしている。
 この深さになっても、水やガスが出る事も無く、息苦しさや地面の熱などもさほど感じない事に疑問を持ちつつも、快適に採掘が出来てる事実に感謝しながら掘り進んでいる。
 ミスリルやルーンメタルの採掘は、以前の様に不思議な力で保護されていた方が発見しやすい事に気付いた。何故なら保護されている場合は、ある一定の範囲が掘れないので、とても良い目印になっていたのだ。今も鉱石を探しながら掘っているが、もしかしたら見逃しが、かなり有るかも知れない。

 ここまで掘り進めていると、掘り出した土がかなり大量になっていて、今は部屋の外に捨てているのだが、一時期はこれで山を作って壁を越えられないかと目論んでいた。
 だが、幾ら長い坑道を掘っているとはいえ、高さ十メートルを超える高さの山を作るのには、あと数年は掛かりそうだと気付き諦めた。悪い案では無いとは思うのだが、これは本当に最終手段の思考停止して外に出るパターンとして封印したほうが、精神的に健全だと判断したのだ。

 今迄掘れていた鉱石は、青銅・鉄・ルーンメタル・ミスリルの四種類なのだが、この深さで掘り続けていると小さいながらも新しい鉱石が二種類増えた。
 それは銅と銀だ。両方とも武器としては使い物にならないので、部屋の片隅に飾ってあるだけになっている。要らないとと言えば要らないのだが、微妙なコレクター精神が生まれ、出たら必ず採取するようになっている。本当になんで出るんだろうね?

 それ以外で採掘に関しては、鉄鉱石も掘れていた事に気付いた。稀に鉱石を含んでいそうな石が有ったのだが、固まりで出て来る物だとばかり思っていたので、見過ごしていたのだ。ごく少量でサイズも小さい為、現状鉄が余っている今の状態では何かのついでで製錬をする程度ではある。この世界でもこの状態で鉄が出る事が分かったのだが、どちらが正しい出方なのかは今だ分からないでいる。普通に考えたら鉄鉱石の方だろうけど、この世界はそんな常識通用しなそうだからなぁ。

 こんな感じで採掘作業は日々続けていて、同時に採掘できた鉄鉱石なんかを鑑定したりして地味にスキル上げをしつつ、常時起動中の探知もそれなりに上がっていて、複数スキルを上げられる効率の良さに楽しくなってきている。
 ちなみに鑑定はその辺の石を鑑定しても、めったに上がる事は無いのでやっていない。難易度的な物か何かが引っかかってるっぽいんだよね。

 段々と探知スキルに引っかかる気配が近くなり、数も増えていくのだが、一つだけやたらと大きい気配を感じる所が出てきた。大きさ的には外に居るクロサイの数倍という感じで、動く事も無くその場にずっと停止している。
 もしかしたらこのダンジョンのボス的存在かも知れない。もしそうであれば脱出の手掛かりが有るのではないだろうか。ボス部屋の奥に外に出る出口がある。良くあるパターンだ。少しこれはリスクを冒してでも、掘り進んでみるべきかもしれない。そう考えた俺は進路方向をそちらに向けて掘り進んでみる事にした。

 理想はボスの部屋の後ろにある、出口がある部屋に出たいのだが、あくまで理想なのでそんな部屋は無い可能性の方が当然高い。下手してボスの部屋に直接たどり着いても怖いので、少しずらした場所に一度でて様子見をする方がいいだろう。
 多段階層のダンジョンみたいなので、一つ上の階層を先に見るべきと思い掘り進めていった。



 スライムを殺してから三日ほど経ったある日、俺は偵察の為、もう一度木の化け物を見に行こうと思い道を進んでいた。
 少し進むと先の方向に何かが居る気配を探知した。場所は大体前にスライムが居た場所付近だ。もしかしてまたスライムが居るのかと思い、慎重に歩みを進めてみると、そこには一匹の犬の様な生き物がいた。
 用心して進んでいたのだが、こちら側に頭を向けていた犬と目が合ってしまった。

「やべえっ」

 思いっきり気づかれたようで、口を上に向け遠吠えをすると、牙をむき出しにして、一直線にこちらに向かってくる。どう考えても襲いに来ている相手に焦りながらも、マジックバッグからナイフを取り出し投げ付ける。
 投げたナイフは前足に突き刺さり、犬が前のめりに転がる。転がり動きが止まった相手に、すかさず連続して取り出したナイフを投付け、十を越えた頃には犬の姿は消えていた。

 思ってもいなかった遭遇に、今頃になって息が上がってくる。心臓の音がうるさいほど鳴り響いていて、手足が震えてくる。この世界に来て二度目の命の危機だったのかも知れないが、振り返ってみれば楽勝ではあった。
 はたと気づき、慌てて探知で周りの気配を探るが、どうやらあれ以外の魔物は居ないようだ。
 安心のため息を一つついて、犬が居た場所を見てみると、俺が投付けたナイフの他に、黒い石と三十平方センチメートル程の毛皮が落ちている。黒い石はスライムからもドロップしたエーテル結晶体だろうが、大きさは四センチ程と小さい。魔物によって出す大きさが違うって奴だろうか。
 毛皮の方は灰色の毛を下地に、真ん中を茶色の毛が一本の線を描いた模様で、裏地も既になめしてあるみたいだ。

 ドロップ品が加工済みの素材とかガチでファンタジーすぎるだろ。いや、それよりも死体が消えるってどういうことだよ。スライムの時は溶けて無くなったのかと思ったけど、やっぱりおかしいだろ。

 あの時はスライムが死んだ後の事なんて、見た事も聞いたことも無いので、こんな物なんだと気にはなっていたが、納得していた。だが、流石に目の前で魔物なのかも知れないが、動物の死体が消えるのを見ると、この世界を少し甘く見ていたかもしれない。

 この世界では生き物は死ぬと、黒い石とアイテムを落として消える。人間も同じくこうなるって事なのか? 俺が死んだら何を落とすんだよ……。
 いや待てよ、俺は散々鳥を殺して食べてるよな。この世界じゃ二通りの存在が有るって事か?
 う~ん、謎。

以下、ダイジェスト

 毛皮をマジックバッグに収納した後は、予定通り木の化け物を観察して、部屋に戻り採掘を行った。
 それから数日間後の事、目的の一つだったルーンメタルが集まった。総ルーンメタル製の槍を作り、その他にも様々な武器を作っておく。
 武器も用意出来たので、そろそろ木の化物をやりにいく。
 スライムにいた場所に湧く森狼は二日に一度のペースで湧いていて、今では下半身は毛皮で覆われている。
 慎重に進むとトレントが見えてきた。最初はルーンメタルの槍を投擲すると、トレントは一撃でその姿を消した。
 その後は三体のトレントを鉄の槍で倒していき、最後の一体にも鉄の槍を投げつけたが、魔法のようなもので反撃を食らってしまった。大したことはなかったので、反撃にルーンメタルの槍を投擲したが、一撃では仕留められなかった。
 どうやら今回は、ここまでのようだ。
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