ここから本文です

新生ファミマの命運握る「再生のプロ」の使命

東洋経済オンライン 2月11日(木)6時0分配信

 9月の経営統合で国内2番手に浮上する、新生ファミリーマート。その経営は“事業再生のプロ”の手に託された。

【グラフ】ファミマ+サークルKサンクスで店舗数はどうなる?

 コンビニ国内3位のファミマは、同4位のサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスと経営統合し、ユニー・ファミリーマートホールディングスを発足させる。そのコンビニ事業会社の社長に、企業経営支援会社・リヴァンプの澤田貴司社長が就任する人事が2月3日、発表された。

■ ミッションは「次世代のコンビニ」作り

 澤田氏は伊藤忠商事の出身で、1997年に「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングへ入社し、翌1998年には副社長に就任した。その後、2005年にリヴァンプを立ち上げ、ロッテリアの立て直しなど、外食分野を中心に実績を重ねてきた。

 そんな澤田氏に与えられたミッションは「次世代のコンビニ」を作り上げることだ。

 国内コンビニ業界は、店舗数でも、日販(1店舗当たりの1日売上高)でも、セブン-イレブンとその他のチェーンという「一強多弱」の状況にある。

 今回の経営統合によって、ファミマの店舗数は単純合算で1万7766店と、セブン(1万8242店)に肉薄する(いずれも2015年11月末時点)。が、日販ではファミマの52万円に対し、セブンは66万円と大きな開きがある。

 経営統合を主導してきたファミマの上田準二会長(統合後に持ち株会社の社長に就任予定)は、「どんな業界でも上位2社しか生き残れない」というのが持論。ローソンを引き離し、国内2強の座を盤石とするには、日販の引き上げが不可欠なのだ。

 統合後の新生ファミマについては、すでにいくつかの改革プランが俎上に上がっている。レジカウンター周辺の利便性向上、焼きたてパンの販売など食品売り場のテコ入れ、イートインスペースの機能拡充がその例だ。

 しかし、いくらハードを整備しても、それによって提供されるサービスの質が高くなければ、十分な効果は期待できない。そこで澤田氏の出番となった。

■ かつての盟友たちがライバルに

 澤田氏と共にリヴァンプを立ち上げ、ファーストリテイリングで社長も務めた、ローソンの玉塚元一社長は「澤田さんのように新しいアイデアを持った人が業界に加わり、活性化するのはいいこと」と評する。

 今回の統合でブランドが消滅するサークルKサンクスの加盟店オーナーも「外部からの登用なので、ファミマ派、ユニー派といった争いを回避しながら、第三者的な目線で公正公平に経営してくれるはず」と期待を寄せる。

 とはいえ、両社の統合作業は緒に就いたばかり。「これから(新会社としての)“強み”を作っていく」(上田氏)段階だ。両社で異なる方式を採用しているポイントカードの統合など、越えねばならないハードルは多い。

 人事発表の翌日に開かれた記者会見で「人生の締めくくりとして、大きなチャレンジを成功させたい」と、抱負を語った澤田氏。伊藤忠時代には、イトーヨーカ堂(当時)による米国セブン-イレブンの買収・再生に奔走した経験も持つ。

 かつての盟友たちがしのぎを削るコンビニ業界で、どんな立ち回りを見せるのか。“再生屋”人生の最終章が始まろうとしている。

又吉 龍吾

最終更新:2月11日(木)6時0分

東洋経済オンライン

東洋経済オンラインの前後の記事