水戸駅前で街頭宣伝を行った市民団体=11日午後、JR水戸駅前(桐原正道撮影)

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 建国記念の日の11日、水戸市のJR水戸駅南口で「茨城のシールズ」を標榜する市民団体がバレンタインアピールとして、チョコ付きのティッシュやビラを配りながら「戦争法廃止」の街頭宣伝を行った。

 産経新聞の取材に応じた共同代表の女性(38)は、「北のミサイル発射は日本には危害がない。北朝鮮と中国、米国がグルになっている」などと仰天の発言を連発した。

 街頭宣伝の開始時刻の11日午後3時。水戸駅南口には団体のメンバーとみられる6人組の姿があった。うち1人は白いヘルメットとマスクを着用。かつての学生運動を彷彿とさせるその姿は一体誰から素顔を隠したいのか判然としない。ヘルメットの頭頂部には「PEACE」などと書かかれた旗が飾られていた。

 遅れること数分、他のメンバーも集まりはじめ「戦争法の廃止を求める統一署名」や、チョコ付きのティッシュなどを配り始めた。会場には、近年のデモ行進や集会で定番となりつつある、アップテンポな音楽がかかっている。

 「縄文土器、弥生土器、どっちが好き!?」

 「縄文土器、弥生土器、どっちが好き!? どっちもドキ!」

 「戦争法の廃止」と縄文土器や弥生土器がどう関係あるのか、もはや記者にはさっぱり分からないが、メンバーはラップ調の曲を背景に笑顔でビラ配りに興じている。共同代表の女性によると、この日は20〜30代を中心に15人ほどが街宣に参加したという。

 ちなみに、土器の音楽が頭から離れず帰宅後にインターネットで調べてみると「レキシ」というアーティストの「狩りから稲作へ」という曲らしい。気になる方は調べてみてほしい。

 しばらく様子を見守ってみたが、チョコ付きのティッシュは売れ行きがよく、高校生や若者も手に取っている。一方、「戦争法廃止」の署名運動はハードルが高いようで、若者は逃げるように立ち去っていた。署名に足を止めるのは、50〜70代ぐらいの世代が多いようだ。

 勇気を出して白ヘルメットの男性に声をかけてみると、団体の共同代表の女性を紹介された。

 水戸市内の法律事務所に勤務しているというこの女性は、団体について「シールズなどに影響を受けて昨年の7月に設立した。茨城のシールズを目指したい」と話した。名前は「Sauda@ibr」(そうだあっといばらき)。高校生から30代くらいまで、約30人が活動しているという。

 この日の街宣については「安保法制が決まって半年がたつが、まだ反対の声を上げる人がいることを知ってほしかった」と説明する。署名活動は「昨年末から全国で2千万人を目指して集めている。4月にとりまとめて安倍首相に提出する予定」という。

 日本の有権者の5人に1人が署名すると成立する壮大な目標だ。なんとか頑張ってほしい。

 記者から「安倍首相に伝えたいことは」と問われると、女性は少し考えたうえで「国民の声を聴いてほしい。国会の中では多数派かもしれないが、それだけじゃないということを知って」と話した。

 選挙で選ばれた結果、自民党や公明党が多数派を占めていることについては「選挙に行かない人もいる」と主張。7日に北朝鮮が発射した弾道ミサイルについては「あれはミサイルというよりロケット。日本を攻撃しているわけではない」とした上で、「北朝鮮のトップと中国のトップ、米国などが話し合って決めたはず。私たちに見えないところで、米国や北朝鮮にメリットがある。彼らはグルだ」というにわかに信じがたい推論をぶち上げた。沖縄県の尖閣諸島に中国が進出の動きを強めていることについても「知り合いの大手通信社の記者に聞いたが、尖閣諸島の問題も、中国は日本に敵対してやっているわけではないらしい」などと話した。

 いろいろ興味深い話が聞けて、有意義な祝日が過ごせた。

 この市民団体は21日にも水戸市内でデモ行進をするらしい。時間があれば様子を見に行きたい。

 ちなみに、頂いた2つのチョコレートはおいしく頂きました。ごちそうさまでした。(桐原正道)