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 北朝鮮は11日夕方、韓国が南北協力事業である開城(ケソン)工業団地の操業を全面中断したことを受け、「同団地を閉鎖し、軍事統制区域とする」と宣言した。同団地は軍事境界線近くの北朝鮮側にある。韓国側関係者は同夜、全員撤収した。南北の公式チャンネルは全て途絶し、朝鮮半島情勢は混迷を更に深めることになった。

 朝鮮中央通信によると、北朝鮮の祖国平和統一委員会は11日に声明を発表。韓国による操業中断は、「米国に唆された朴槿恵(パククネ)(韓国大統領)の売国気質、対決ヒステリーの産物だ」と非難。11日午前10時から同団地に隣接した軍事境界線を全面封鎖すると宣言した。

 また、韓国の入居企業124社の全資産を凍結し、開城市人民委員会の管理下に置くとして、事実上没収する考えを示した。南北間の軍事通信と境界線上にある板門店の連絡通信網も閉鎖するとした。

 韓国統一省によると、11日午後10時過ぎ、同団地に残っていた韓国入居企業や政府の280人全員が韓国側に戻った。北朝鮮は11日夜、韓国と同団地とを結ぶ通信も打ち切った。

 同団地を含む地域一帯は軍事的要衝で、団地開設の際に北朝鮮軍が強い難色を示したことがある。(ソウル=牧野愛博)