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祖父江慎と佐内正史が語る、黒猫チェルシーに施した「治療」

祖父江慎と佐内正史が語る、黒猫チェルシーに施した「治療」

黒猫チェルシー『グッバイ』
インタビュー・テキスト
小田部仁
撮影:田中一人

2007年に神戸で結成された幼馴染バンドは、あまりにも遠くに来てしまった。黒猫チェルシーのフロントマン・渡辺大知を、朝ドラやCMなどで活躍する「俳優」として認識している人も多いだろう。しかしバンドとしては、前レーベルとの契約が終了し、しばらく音源を出すことができず、ここ数年もがき苦しんできた。

そんな黒猫チェルシーが、2月3日に、シングル『グッバイ』をリリースした。彼らが正式に音源を発表するのは、2014年の『Cans Of Freak Hits』以来、レーベルを移籍してからは初めてとなる。『グッバイ』は、彼らが「勝負の一作」と銘打った作品である。過去に別れを告げ、なにかになろうとするのではなく飾らない自分自身であろうとした、とても正直で等身大の黒猫チェルシーの熱い想いが詰まっている。

この作品のジャケット写真を撮影したのが、佐内正史。そして、アートディレクションを担当したのが祖父江慎だ。両者とも日本における写真・デザインの一線で活躍する大御所である。しかしながら、二人は渡辺大知及び黒猫チェルシーとの関係を「友達」と無邪気に語る。黒猫チェルシーが並々ならぬ想いを込めた『グッバイ』を、渡辺大知、佐内正史、祖父江慎の三人はどのように形にしていったのか。深夜0時から始まった鼎談は熱を帯び、2時間に及んだ。

友達に「こういうの撮ったんだよね」って見せるのが写真だと思います。友達を撮って「これ、あげるー」って感じも。(佐内)

―こうやって三人で会うのは久しぶりですか?

渡辺:祖父江さんとはジャケットの打ち合わせのとき以来、佐内さんとは写真を撮っていただいて以来なので、だいぶお会いしてないですね。

佐内:そんな感じはしないけどね。(渡辺)大知くんも、祖父江さんも、会っても会ってなくても変わらない感じ。

祖父江:ひとつのお家の別々の部屋にいるような感じだよね。

渡辺:そうですね。

左から:祖父江慎、渡辺大知、佐内正史
左から:祖父江慎、渡辺大知、佐内正史

祖父江:いやーそれにしても、移籍第1弾で“グッバイ”ってタイトルというのがすごいよね。グッバイ、カンパイ、オッパイ。ライブで間違えて「僕たちの“オッパイ”聴いてくれましたか?」とか聞いても、お客さんは全員「聴いたよ!」って言ってくれたりして(笑)。

渡辺:そうだったら最高ですね(笑)。

佐内:こうやってできあがったものを見ると、『グッバイ』、いいね。

黒猫チェルシー『グッバイ』ジャケット

―黒猫チェルシーのシングル『グッバイ』がリリースされるわけですが、ジャケットとアーティスト写真を佐内さん、アートディレクションを祖父江さんが担当されています。渡辺さんのご希望で、佐内さんにオファーされたと伺いました。

渡辺:昔から佐内さんの写真集を持っていて、いつか撮ってもらいたいとずっと思っていたんです。

佐内:でも、前から知り合いみたいな感じしない?

渡辺:そんな感じしますね。佐内さんの写真って、遠い世界の憧れというよりかは、なんか「そうそうそう!」と勝手に思える感じがしていたんですよ。だからこうやって撮ってもらうことも、いつかあるだろうなとなんとなく思っていて。

黒猫チェルシー『グッバイ』ジャケット
黒猫チェルシー『グッバイ』ジャケット

祖父江:黒猫チェルシーを聴いていて面白いなと思ったのは、他のバンドって、自分とは違う場所で活動している感じがするけど、黒猫チェルシーは一緒の場所にいるような感じがするんですよ。友達っぽいっていうのかな。佐内さんも、写真を撮るとき「お友達モード」が強いですよね。仕事って感じがしない。「この人に会わせたい!」という感じで、撮った写真を僕のところに持ってきてくれた。

佐内:友達に「こういうの撮ったんだよね」って見せるのが写真だと思います。友達を撮って「これ、あげるー」って感じも。今回の撮影はすごくそんな感じでした。だから、今、黒猫チェルシーは友達だなぁと思う。

左から:佐内正史、渡辺大知

渡辺:撮影が終わったあと、佐内さんにニュータンタンを食べに連れていってもらったんですけど……。

祖父江:ニュータンタンってなんですか? というか、そもそも「ニュー」より前の「タンタン」というのがなんなのかわからない。

佐内:担々麺は胡麻ベースの辛いラーメンです。ニュータンタンは醤油ベースで辛い。まったく別物なので、その「ニュー」はあまり意味のない「ニュー」な気がします。

祖父江:僕、小学校の教科書に「あたらしい国語」とか「あたらしい算数」って書いてあったけど、「あたらしい」というのはどこから後が「あたらしい」のか、悩んだことがありました!

佐内:「ニュー」と「グッバイ」って、ちょっと似てるなって。

祖父江:あー、タイトルとつながってたんですね、佐内さん!(笑)

左から:佐内正史、渡辺大知、祖父江慎

佐内:川崎の方にニュータンタンの店があって、撮影場所から結構遠かったんだけど、澤くん(澤竜次。黒猫チェルシーのギター)以外のメンバーを車に乗せて食べに行ったんだよね。その後ジェラートが食べたくなって、川崎から阿佐ヶ谷まで行ったんですけど、そこに向かう道中でのけいちゃん(岡本啓佑。黒猫チェルシーのドラム)のナビが的確だった。素早く調べて「佐内さん、次、左です」とか言ってくれて。キュンキュンしちゃった。マスター(宮田岳。黒猫チェルシーのベース)はなんか話すの楽しくて。牛久大仏とJAXAがヤバいって教えてもらった。

渡辺:僕としては、けいちゃんに嫉妬しましたよね。彼はほしいときにほしいものを用意してくれるんですよ。ジェラート屋さんもけいちゃんの知ってる店だったし。バンドメンバーとしてもいつも嫉妬するんです。

佐内:俺、今、一番好きな男かもしれない……。最近音楽を聴いていると、俺、女の子になっちゃって、「この人とやりたくないなぁ」とかはっきり思っちゃうんですよね。黒猫チェルシーを聴いてるときは、いつもドラムばっかり聴いちゃう。なんにも特徴はないけど、「ただ叩いてるだけ」みたいなところがいいような気もしてきちゃって。特になにもないよね?

渡辺:あ、そうですね。だけど、けっこう……。

佐内:なんか気がきいてる?

渡辺:そう、気がきいてます。普通「バーン」って決めたいところを、けいちゃんは抜いたりするんですよ。

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リリース情報

黒猫チェルシー『グッバイ』初回生産限定盤
黒猫チェルシー
『グッバイ』初回生産限定盤(CD+DVD)

2016年2月3日(水)発売
価格:1,944円(税込)
SRCL-8969/70

[CD]
1. グッバイ
2. Teenage Hero
3. アンラッキーガール
[DVD]
・“グッバイ”PV
・『little voice presents 黒猫といく類まれなツアー』のダイジェスト映像
※ライブフォトブックレット、撮り下ろしフォトカード封入

黒猫チェルシー
『グッバイ』通常盤(CD)

2016年2月3日(水)発売
価格:1,296円(税込)
SRCL-8971

1. グッバイ
2. Teenage Hero
3. アンラッキーガール

イベント情報

『黒猫チェルシー 2016全国7都市「グッバイ」リリースツアー』

2016年2月26日(金)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:兵庫県 神戸 太陽と虎
出演:
黒猫チェルシー
ザ50回転ズ

2016年2月28日(日)OPEN 17:00 / START 17:30
会場:福岡県 DRUM SON
出演:
黒猫チェルシー
IRIKO

2016年3月5日(土)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:宮城県 仙台 PARK SQUARE
出演:
黒猫チェルシー
GLIM SPANKY

2016年3月13日(日)OPEN 17:00 / START 17:30
会場:北海道 札幌 COLONY
出演:
黒猫チェルシー
SUPER BEAVER

2016年3月20日(日)OPEN 17:00 / START 17:30
会場:大阪府 心斎橋 Pangea
出演:黒猫チェルシー

2016年3月21日(月・祝)OPEN 17:00 / START 17:30
会場:愛知県 名古屋 CLUB UPSET
出演:黒猫チェルシー

2016年3月27日(日)OPEN 17:00 / START 17:30
会場:東京都 新代田 FEVER
出演:黒猫チェルシー

料金:各公演3,000円(ドリンク別)

『祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ』

2016年1月23日(土)~3月23日(水)
前期「cozf編」:1月23日(土)~2月14日(日)
後期「ish編」:2月16日(火)~3月23日(水)
※会期中展示替えあり
会場:東京都 千代田区立日比谷図書文化館 1階特別展示室
時間:10:00~20:00(土曜は19:00、日曜・祝日は17:00まで、入室は閉室の30分前まで)
休館日:2月15日、3月21日
料金:一般300円 大学生・高校生200円
※千代田区民、中学生以下、障害者手帳をお持ちの方および付き添いの方1名は無料/p>

『佐内正史―金石手帖―』

2016年2月12日(金)~5月8日(日)
会場:石川県 金沢 Books under Hotchkiss
時間:11:00~20:00
定休日:月曜

プロフィール

黒猫チェルシー
黒猫チェルシー(くろねこちぇるしー)

渡辺大知(Vo)、澤竜次(Gt)、宮田岳(Ba)、岡本啓佑(Dr)。2007年に地元神戸にて結成。2010年『猫Pack』でメジャーデビュー。以降、2枚のフルアルバム、1枚のミニアルバムとシングルを発表。精力的にライブやツアーを行い、2014年には初のベストアルバム『Cans Of Freak Hits』をリリース。その演奏力とライブパフォーマンスを武器に、大きな支持を集める。2015年8月には渡辺大知が出演した、NHKドラマ『まれ』から飛び出したバンド「little voice(リトルボイス)」としても、シングル発売&全国ツアーを敢行。各地SOLD OUTとなるなど、大きな反響を呼ぶ。渡辺大知は、初の映画監督作品『モーターズ』が全国各地で公開決定するなど、マルチな才能を開花させている。黒猫チェルシーは2月26日より全国7都市を巡る全国ツアーも敢行。

祖父江慎(そぶえ しん)

グラフィックデザイナー。コズフィッシュ代表。1959年愛知県生まれ。多摩美術大学中退。1990年コズフィッシュ設立。人文書、小説、漫画などの書籍の装丁やデザインを幅広く手がける。吉田戦車の漫画本をはじめとして、意図的な乱丁や斜めの断裁など、装丁の常識を覆すデザインで注目を集める。近年、『スヌーピー展』『エヴァンゲリオン展』『ゲゲゲ展』『ゴーゴーミッフィー展』など、展覧会のグラフィック、アートディレクションを手がけることも多い。現在、日比谷図書文化館で『祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ』開催中(2016年3月23日まで)。

佐内正史(さない まさふみ)

写真家。常に写真の時代をリードし続け、出版した写真集は多数。2002年に写真集『MAP』で『第28回 木村伊兵衛写真賞』受賞。2008年には写真集レーベル「対照」を立ち上げる。最新刊は『度九層』(どくそう)。2015年には作家• 舞城王太郎との共著『深夜百太郎 入口』『深夜百太郎 出口』(イマココ社)が連続刊行された。現在、アストルティア内を精力的に撮影中。

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