中国を「虚像」でしか見ていない日本人の盲点
「爆買い」のテレビ取材はなぜ紋切り型なのか
張予思さん(写真)と開沼博さんが日中関係の現在過去未来や、「ステレオタイプ」の本質を語り合った
日中関係が戦後最悪と言われる中、日本人のステレオタイプな中国観の変遷を分析した新刊『革命とパンダ:日本人はなぜ中国のステレオタイプをつくりだすのか』(イースト・プレス刊)が、いま話題になっている。
著者の張予思さんは南京出身、中国からの留学生として東京大学大学院に入学し、この本のベースとなる修論を書き上げた。現在はテレビ朝日に務め、日々情報番組の取材に明け暮れている。
今回の対談は、大学院で共通の師匠を持ち、著者の先輩にあたる社会学者・開沼博さんを招き、日中関係の現在過去未来、そして「フクシマ」とも共通する「ステレオタイプ」の本質を語り合った。
自分の本が「嫌中」に囲まれ、四面楚歌状態だった
開沼 博(以下、開沼):張さんと僕は、もともと東京大学の学際情報学府の吉見俊哉ゼミでご一緒していました。先輩だと北田暁大さんなどがいるゼミです。ところで張さんの副指導の先生は誰だったんですか?
張 予思(以下、張):林香里先生ですね。
開沼:メディア論の林香里先生。そこで、いつからいつまで勉強してたんでしたっけ?
張:私が吉見ゼミに入ったのは、2009年の10月です。外国人研究生として最初は入って、1年半ほどして震災直後の2011年4月に正式に修士課程に入学しました。震災の影響で、大規模な集会ができなかった時期で、家でパジャマ姿で「入学式」のネット中継を見ました。
開沼:なるほど。それから勉強を重ね、2013年の春に提出したのが、この本『革命とパンダ』のもとになった修士論文であると。
張:そうです。1月に提出して、3月に卒業…という感じでしたね。