整った逮捕条件 URの生殺与奪権を握っていた甘利氏の権限
実は交渉当時、URは安倍政権によって生殺与奪権を完全に握られていたのである。
政権発足から間もない13年2月、安倍首相は議長を務める「行政改革推進会議」で、独立行政法人改革の実行を宣言した。数ある独法の中でも、とりわけURは国交省OBの長年の天下り先として有名で、民業圧迫の観点や13兆円もの有利子負債を抱えていることから、何度も組織改編の俎上に載せられてきた。
「その原点は07年、当時の渡辺喜美行革相が『UR民営化』を打ち出した時です。しかし、あと一歩で実現できなかった。民主党政権になり、12年8月には当時の岡田克也副総理がURの分割・民営化の方針を決めましたが、その後、下野したことで方針は凍結。そうしたら、政権に返り咲いた安倍内閣が行革推進会議で“仕切り直し″を命じたため、URを生かすも殺すも政権の意向次第になったのです。URはまさに“まな板の鯉″で、包丁を握った政権の有力閣僚として甘利氏が君臨していたのです」(霞が関事情通)