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自民党が、衆院の選挙制度改革の案をまとめた。 最高裁が国会に求めた一…
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自民党が、衆院の選挙制度改革の案をまとめた。
最高裁が国会に求めた一票の格差是正と、2大政党の党首が約束した定数削減。この二つを主な論点に政党間協議が再開されるが、自民党案は定数配分の見直しと削減を2020年の大規模国勢調査以降に先送りする内容だ。他の政党や有権者の理解を得られるとは思えない。
格差是正と定数削減は、政党間での協議がまとまらずに、有識者による調査会に検討が委ねられた経緯がある。
調査会は先月、10年ごとの大規模国勢調査をもとに、人口比に基づく「アダムズ方式」で都道府県単位の定数を配分▽大規模調査の中間年の簡易国勢調査で格差2倍以上の選挙区が生じたら、都道府県内の選挙区割りの見直しを行うとの是正策を答申。選挙区6、比例区4の定数削減も求めた。
安倍首相はこれまで「答申を尊重する」と国会などで繰り返してきた。一方、自民党執行部は当初、都道府県内の区割り見直しによって格差を2倍未満に抑えることにとどめる案を持っていた。ただ、それでは自らの答弁との整合性がとれないとの首相からの指示を受け、軌道修正した。
党執行部がきのう示した案には、都道府県別の定数については「20年の大規模国勢調査の際に、調査会の答申に沿って、必要な見直し、削減を行う」と書いてある。だが、具体的な数字や中身には触れていない。
定数削減については「10削減を党方針としたい」と口頭で説明。格差是正にアダムズ方式を用いるかどうかは「今後の検討」と言葉を濁している。
民主党政権の野田首相と安倍氏が、消費税率引き上げに伴う「身を切る改革」として定数削減を約束したのは12年11月だ。その後、格差是正の緊急措置として定数を5減らしたとはいえ、公党間の合意の実行をさらに5年あまり先送りすることは誠実な態度ではあるまい。
さらに問題なのは格差是正だ。定数の配分方式をはっきりさせないままの先送りは、最高裁が不平等の原因だとして「速やかな撤廃」を求めた1人別枠方式を実質的に存続させることになりかねない。
アダムズ方式が完全かどうかは別にしても、現実的な案として答申された以上、速やかに実施すべきなのは当然のことだ。圧倒的な議席数をもつ自民党の責任は大きい。
政党間協議ではこれらの疑問について、国民が納得できる明確な結論を出さねばならない。
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