月舘彩子
2016年2月10日22時27分
統合失調症の治療薬で重篤な副作用が起きるリスクが高い遺伝子の型を、藤田保健衛生大(愛知県豊明市)と大阪大などの研究チームが特定した。より安全な投薬治療につながる可能性がある。10日付の米精神医学誌に掲載された。
統合失調症の患者は国内に推計80万人。患者の20~30%は一般的な抗精神病薬では改善せず、クロザピンという薬だけ効く可能性があるとされる。だが、白血球の一種の顆粒球(かりゅうきゅう)が急激に減るという重篤な副作用の出現率が1~2%ありほとんど普及していない。
研究チームは、クロザピンの副作用で顆粒球がなくなったり、少なくなったりした患者50人と、2905人の健常者のゲノム(全遺伝情報)を解析。数万通りある白血球の遺伝子で重篤な副作用が起きるリスクが10・7倍の型を特定した。
藤田保健衛生大の岩田仲生教授は「投薬前に遺伝子を調べ、副作用のリスクの高い型を持つ人には血液検査の頻度を増やすなどの対応ができる」と話す。遺伝子検査を併用した投薬治療の臨床試験を新年度に始める予定だ。(月舘彩子)
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朝日新聞社会部
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