おはよう
大阪は晴れ。
一介の金融屋や経済学者が政界に入ると、たいてい財務省に軽くひねられる。
10兆円の公共投資は、どういう試算で出てきたものか知らないが、国がどこにそのお金を使えばよいのだろうか。人口減少のために誰も使わない道路を、地方に作る気にはならない。インフラを大規模に作る活気もない。重厚長大の時代なら、それもよかっただろうが、今はお荷物になる。また東京・東北は地震が近いから、わざわざ新品のものを作って、地震ですぐ壊れさせるようなこともしたくない。使いみちが見当たらない。
最も肝心なことは、土木工事が弱いのは、まだ社会制度の整備が先決であり、日本の空間を美しくする時代ではないからだ。日本を住みやすい国土空間にするために金を使う空気が弱い。社会保障が先である。財務省は、優先順位を間違えてはいない。
そもそも、日本政府は、大きな政府になりすぎている。浪費も多い。さらに10-2=8兆円も浪費させることに、何の意義があるのだろうか。そもそも、アベノミクスは財務省にとっては、花丸がつくほどの大成功だ。国家の財政収入が大きく増えたからだ。税金が増えた。国が潤った。国債を日銀に買わせ、借金も減らした。
日本はだぶつく金で従来から運営されている。それをスリムにする気も政府にさらさらない。
とはいえ、民間が不景気というのは、気になる。国と企業が儲かるのに、国民の生活がかげるのは、どこかに問題があるからだ。それを解決するのが学者である。
黒田総裁のマイナス金利政策は、おそらく極めて適切なのである。世界全体の景気悪化により、円高になる。それを阻止するために、急遽、日本の国債を買いだめさせないよう手を打った。民主党時代のに日銀の速水元総裁には、できない芸当である。
早速、円はNYで113円台前半にまで上がった。日銀がブレーキをかけたにもかかわらず、この急騰ぶり。もし黒田氏が何もしなかったら、もっと円が上がり、株は下がっただろう。それを防いだような顔をしているだけで、十分だ。
これが大多数のアナリストの見方である。こういうことを第一に論じられなくては、主流派になれない。端のほうで、いちゃもんをつけるだけで終わる。財務省に影響力をもてない。金融庁の上のほうにも上がれないし、日銀のメンバーにも加われないだろう。与党の非主流派の利用されるだけでは、一人前ではない。新しい経済の観点を一つや2つ国内で受け入れられただけで、一流ぶるのもどうか。政財界ではそれで、ひよっこ・中堅ではないか。
日本は今は、産業の転換期にあって、シャープ、ナショナル、ソニーなど小売家電があいついで、失速。後進国の中国にとられている。テレビ、太陽電池などの簡単な電気器具は、国家をひっぱる主要産業とはならない。
それで高い技術がいる電子産業か、大型の工業もので、しのいでいる。設計図があると、誰でも作れるようなのは、中韓にとられてゆく。技術がないと作れないものだけが、オンリーワンとして日本に残る。もしくは、電子産業か。ロボット。
ロボットも家電のような手足胴体は、すぐに中韓にとられるから、ソフトウェアか電子部品くらいしか、成長産業になりえない。欧米みたいに特許で守るのでは、いつまでも高度になれない。特許がなくなる時代になったら、おしまいだ。
自動車はいまだ健在だが、コンパクト化が進む。また自動運転は、最も優れた優良な規格やプログラムをコピーするとできるため、複雑なものはいらなくなる。そう長くはもたないのである。
このあたり、そろそろ日本の主力が今後5-10年間は進むべき産業形態が、はっきりしつつあるのだが、明確に示す提言がないのが残念だ。
学者でないと、遠くから彼らのやることを眺めていればよいから楽だ。出来が悪いのは切る。出来がよいと長く続けさせる。その判断が国民にあると、国は長く繁栄する。
哲学の話 -- 季節と友達
4月から新しい友達が現れる。2月から去年の友達が遠ざかる。彼らを切り離す準備をする。友達の心が離れてゆくことに、あまり寂しく感じることはない。それが運命なのだから。
それまでよかった関係も、相手の問題点を強く自覚する時期にさしかかる。とはいえ、それまでのそれは変わらない。
本日の被害
眼が強く痛む。また長く冷たい水のなかにいたような寒気がして、体が重たくなる。変わった電波である。
以上