権利は権利者からのみ承継しうる
なんかかっこよくないですか?
よくよく考えると当たり前なのですが(当たり前すぎて、指摘されないレヴェル。しかし、近代法の大原則ってのも響きかっこいいですね!)、ただこのことについて、しんから納得していないと、権利外観法理って意味わからないと思います。
ようするに、権利者じゃない人から権利を取得することができるという、近代法の大原則の例外の場面なのだよ!ということなんですね!
有名な判例です(テストに出ます)
昭和43年10月17日 最高裁第一小法廷 昭41(オ)238号
具体的事情は、以下の通りです。
Aは、Bから「個人名義の財産をもっていないと取引先の信用を得られないから、不動産の所有名義だけでも貸して欲しい」と申し込まれ、AとBは、合意のうえ、不動産につき売買予約をしたと仮装し、Bのため仮登記手続をしました。
Bは真正に成立したものでない委任状によつて、当該不動産につき、ほしいままに自己Bに所有権取得の本登記手続をしました。
BがCに当該不動産を売りました。
AとCは、どちらが勝ちますか?(Cが勝つための要件として、無過失まで必要ですか?)
ポイントは、Aも悪いといえば悪いですけど、本登記までは作出していない、という。Bの本登記は、Bが勝手にやっている、という。
思うに、不動産について売買の予約がされていないのにかかわらず、相通じて、その予約を仮装して所有権移転請求権保全の仮登記手続をした場合、外観上の仮登記権利者Bがこのような仮登記があるのを奇貨として、ほしいままに売買を原因とする所有権移転の本登記手続をしたとしても、この外観上の仮登記義務者Aは、その本登記の無効をもつて善意無過失の第三者Cに対抗できないと解すべきである。けだし、このような場合、仮登記の外観を仮装した者がその外観に基づいてされた本登記を信頼した善意無過失の第三者に対して、責に任ずべきことは、民法九四条二項、同法一一〇条の法意に照らし、外観尊重および取引保護の要請というべきだからである。
奇貨として・・・かっこいいですね(もういい?)
自分の理解では、いきなり出てくる110条は、「無過失」という要件を条文上ひっぱってきたい、ということだけなのかな?と(110条も権利外観法理の条文です)。
大枠の考え方、権利外観法理をつかっているよ!ということのほうが大事なのかな。
静的安全(Aの勝ち)と動的安全(Cの勝ち)をどこでバランスとるか?というと、今回は、Aはそこまで悪くないので、Cに無過失まで要求しようか!ということなのかな?と。
有名な判例の話ここまでいったん終わり。
アホみたいな話ですが
私、最初に勉強していたとき、「権利は権利者からのみ承継しうる」 これ、分かっていませんでした。しんから分かっていなかった。アホです。自分に甘く考えると、こういうことって何の分野でもあるのかな?とは思います。
普通のことが分からなくなる?思いきって先生が悪かったことにしておこう。ダメな人っぽいですが。
今、思い出せる範囲で、最初は分からないこと、ただし、最初に分かっておけば後が楽になるだろうことをポツポツ書いていこうと思っています。司法書士試験を受けようと準備をなさっている方へ。司法書士試験は範囲が広いので、私のブログみている暇があったらというジレンマはあるのですが・・・まあいいか。
というわけで、次回は、「契約の無効ってどういう状況?」になるかもしれませんし、ならないかもしれません。
to be continued