エチオピアで発見の歯の化石 800万年前と判明
兵庫県立人と自然の博物館や東京大などの研究チームは11日付の英科学誌ネイチャーに、エチオピアの地層から2007年に見つかったゴリラの祖先とされる類人猿の歯の化石が約800万年前のものと判明したと発表した。人類とゴリラは1000万年前にアフリカで共通の祖先から分岐したとの説を補強する成果で、人と自然の博物館の加藤茂弘主任研究員は「人類誕生の時期を明らかにすることにもつながる」と分析している。
研究チームによると、化石が発見された地層は当初、約1000万年前のものと推定されていたが、その後の調査で断層によるずれを確認。他の化石や地質を詳しく分析した結果、約800万年前の地層と分かった。アフリカではそれまで、約1000万年前から約700万年前にかけて類人猿の化石は見つかっていなかった。
遺伝子解析の結果などを合わせて推定すると、人類の祖先とゴリラとの分岐が約1000万年前、初期の人類とチンパンジーとの分岐は約800万年前と考える説に合致するという。
研究チームは東京大の諏訪元(げん)教授やエチオピアの研究者らでつくっており、07年にエチオピアの首都アディスアベバの東約170キロにある地層「チョローラ層」から、9本の大型類人猿の歯の化石を発見。ゴリラの祖先である可能性が高いと判断し、「チョローラピテクス・アビシニクス」と名付けていた。【田辺佑介】