日銀はまだ具体的なアクションを起こしていない
今週の日本のマーケットは、これまでの混乱の根源だと考えられてきた中国市場が春節で休場であるにもかかわらず大荒れの展開である。特に株式市場はかなり厳しい下げ局面が続いている。
その株式市場での下げの主役は銀行株であるが、銀行株の大幅な下落の「犯人」とされているのが、1月29日に日銀が導入を決定した「マイナス金利」である。
日銀による「マイナス金利」政策の意味については、先週の当コラムで既に言及した(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47758)。その要点を簡単にいえば、あくまでもイールドカーブの低下を促すことで、国債買い切りオペの効果を上げる従来の「量的・質的金融緩和」の補完的措置ではないかということである。
これは、「量的・質的金融緩和」の限界を意味するものでもないし、一般的に流布しているような金融機関に貸出等の資産運用を強制する「通俗的なマイナス金利政策」とも異なるのではないか。
よって、筆者は、今回の「マイナス金利」自体が単独で重要な政策的意味合いを持つとは考えていない。あくまでも量的緩和政策が持続するという前提で、今後、「マイナス金利」は効果を上げていくと考えている。
その意味では、現時点で日銀はまだ具体的なアクションも起こしていないに等しく、マーケットの「マイナス金利」に対する反応は過剰だと考える。
したがって、今回の「マイナス金利」が日銀の「リフレ・レジーム(デフレ脱却のためのコミットメント)の強化」とする一部のリフレ政策支持者の評価は過大である。現に、ここまでの為替レートや株価の反応を見る限り、「リフレ・レジーム」が強化された様子は観察されない。
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