塩入彩、金子元希
2016年2月11日07時21分
東京・銀座の元ホステスの女が交際相手を殺害したとされる事件。性同一性障害で男性から女性になった元ホステスに対し、収容先の東京拘置所が女性ホルモンの投与を拒んだ。弁護人や医師らは体調悪化を懸念するが、なぜ投与が認められないのか?
■拒む拘置所「病気ではない」
この元ホステスの女(29)は東京地裁で昨年12月にあった裁判員裁判では時に震え、口はほとんど開いたまま。しゃべろうとしても、何度も言葉を詰まらせた。弁護人は体調不良の一因として、「拘置所が、必要なホルモン剤を投与していない」と指摘した。
弁護側によると、女は男性として生まれたが、10代で性同一性障害と診断された。18歳から女性ホルモンの投与を開始。20歳までに性別適合手術を受け、戸籍上も女性になった。昨年2月の逮捕後、警察署はホルモン投与を認めたが、その後に移された東京拘置所は投与を拒んだ。弁護人が投与を求めたが、「病気ではない」と応じなかった。
裁判では、女の精神鑑定をした医師が出廷。弁護側の質問に対し、「卵巣がなく、女性ホルモンが欠乏している状態」と指摘し、「投与が必要。投与をしないと精神的に不安定になる」と懸念を示した。
昨年12月4日の判決は懲役16年(求刑懲役18年)。ホルモン投与の問題は触れられなかったが、弁護側は拘置所のやり方を問題視しており、何らかの対応を検討しているという。
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朝日新聞社会部
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