外国人観光客に「最悪の味」を提供する明洞の飲食店

 この通りにある刺し身店では、刺し身のほかに20種類以上もの料理を提供していた。記者が注文しようとすると「韓国人? 中国人?」と聞いてきて「韓国人には刺し身しか出さず、トッポッキとかチャジャン麺などは中国人にしか出さない」とあっさり言った。この店のトッポッキは種類によるが1人分7000-1万ウォン(約700-1000円)だった。一般的なフランチャイズのトッポッキ専門店(5000ウォン=約500円)の約2倍という高価格だ。明洞のある飲食店のオーナーは「この周辺だけで10カ所以上の店が外国人用のメニューを別に用意している」と話した。

 このような飲食店を利用した外国人の反応は冷ややかだ。観光で韓国を訪れたインドネシア人のベラさん(22)は「種類は多いがほとんどはひどい味(disgusting)だった」と話した。中国から来たレオンさん(20)は「サムギョプサル2人分とチゲ(鍋料理)一つ頼んだだけで6万4000ウォン(約6300円)も取られた。ぼったくられた気分だ。その上、味もあまりにひどくて驚いた」と語った。

 一方、日本の飲食業界は「特性化」戦略と品質管理によって観光客を引き寄せている。大阪には「インスタントラーメン発明記念館」「チキンラーメンファクトリー」など、日本の伝統的な「ラーメン」の歴史を学び、ラーメン作りも体験できる観光商品まである。日本各地の有名ラーメン店10店を1カ所に集めた福岡の観光スポット「ラーメンスタジアム」は、客の評価が低い店舗を撤退させるというシステムで味と価格を管理している。観光客の多い中国・北京の王府井にある小吃街(軽食を提供する屋台街)は自主的に屋台の規格を標準化し、基準より高い価格では販売できないようにしている。

 明洞の飲食店の間で自分の首を絞めるような競争が始まったのは、中国人観光客の急増が最大の理由だとされる。スンデ(豚の腸詰め)やトッポッキのような軽食をメーンに扱っていた露天商たちが、中国人観光客を狙ってサムギョプサルやトッカルビ(韓国風ハンバーグ)のような料理を出し始めたため、これまで観光客でにぎわっていた韓国料理店も多種多様な料理を高価格で提供するようになったというわけだ。漢陽大観光学部のイ・フン教授は「観光客に低質な料理を提供して法外な値段をふっかけるのは、観光客に『もう来ないでくれ』と言っているのと同じだ」と指摘した。

チェ・ユンア記者
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