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【ニュースの断面】
レコード針、今でも主力製品「諦めない決断」が生んだ復活劇
国内で数少ないレコード針メーカー、日本精機宝石工業(兵庫県新温泉町)を取材した。明治期に縫い針製造から始まった歴史とともに、従業員約60人の会社とは思えない多彩な商品群、粘り強さに驚かされた。
かつて同社の主力商品だったレコード針の売り上げは、昭和57年にCD(コンパクトディスク)の生産が始まると、会社全体の数%まで落ち込んだ。代わって経営を支えたのは、CDプレーヤー用のクリーナーや、レコード針と同じく工業用ダイヤモンドを使う歯科用ドリルなどだ。
ただレコード針の需要はなくなったわけではなく、生産は続けられた。古くからの世界中の音楽ファンにとって同社は貴重な存在となった。
転機となったのは、2008(平成20)年に米国で始まった「レコード・ストア・デイ」というイベント。音楽のデジタル配信が普及する中、実店舗でCDやレコードなどの購入を呼びかけるものだ。