マイルスの思想を引き継ぐ者
音楽と電子工学でドクターを持つ
ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)はグリネル大学という大学で音楽と電子工学の博士号を取得したそうです。それを知った時「あ~なるほどね~~~」と妙に納得してしまいました。
マイルス(Miles Davis)のエレクトリック指向はハービーの影響かもしれません。「これからは電子音楽の時代だよね~」と二人でワイワイ盛り上がってたのかも(笑
処女航海(Maiden Voyage)
ハービーの初期の名盤といえば筆頭にあがるのがやっぱりこのアルバムでしょう。もちろんこの時代はアナログ楽器です。
その中からタイトルチューンをお聴きください。
- アーティスト: ハービー・ハンコック,フレディ・ハバード,ジョージ・コールマン,ロン・カーター,トニー・ウィリアムス
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2014/10/08
- メディア: CD
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問題作だけど大成功
上記「処女航海」のリリースが1965年で、その頃ハービーはマイルスグループの一員でした。マイルスグループは1968年頃に抜けました。その後すぐマイルスは「In a Silent Way」「Bitches Brew」を1969年、1970年に発表し、電子音を意識した音楽の創造をぶちかまします。すると、ハービーは1972年にコロンビアレコードに移籍し、翌1973年に問題作「Head Hunters」を発表します。この一連の流れは互いに呼応しているように感じます。
ハービー・ハンコックの「Head Hunters」もマイルスの「Bitches Brew」と同様に保守的なジャズファン層からは非難されましたが、「Bitches Brew」もそうであったように商業的には大成功を収めました。
その中から一曲お聴きください。「Watermelon Man」
HEAD HUNTERS ヘッド・ハンターズ [12" Analog LP Record]
- アーティスト: HERBIE HANCOCK ハービー・ハンコック
- 出版社/メーカー: CBS/SONY
- 発売日: 1973
- メディア: LP Record
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V.S.O.P.:Quintet
マイルスもそうですけど、その時やりたい音楽をするために集めるメンバーが的確なんですよね。実験的な試みや電子的な音楽を発展させていく一方で、ハービーは元マイルスグループメンバーを再集結してV.S.O.P.:Quintetを結成し世界ツアーを敢行します。彼以外のメンバーは、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)、フレディ・ハバード(Freddie Hubbard)、ロン・カーター(Ron Carter)、トニー・ウィリアムス(Tony Williams)です。凄いメンバーですよね。
このV.S.O.P.:Quintetのナンバーから一曲お聴きください。
アルバム「V.S.O.P.: The Quintet」から「Third Plane」
- アーティスト: V.S.O.P.-The Quintet,Herbie Hancock,Freddie Hubbard,Tony Williams,Ron Carter,Wayne Shorter
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 1988/10/03
- メディア: CD
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世界の音楽業界を担う
この頃からハービーは単なる一人のジャズミュージシャンとしてだけではなく、音楽業界全体の中で企画的な仕事を行うようになります。音楽映画の監督もこなし、制作するアルバムも単なる曲の発表ではなく、メッセージ性や企画性を重視した内容のものを制作していくようになります。そして、アメリカ、いや世界の音楽業界を担う立ち位置にある存在となっていきます。そういう意味では「マイルス学校」卒業生の中では主席であると言えるのではないでしょうか。
1998年に「ガーシュイン生誕百周年」という企画で制作されたアルバム「Gershwin's World」から「St. Louis Blues」です。ヴォーカルやハーブはもちろんスティービー・ワンダー(Stevie Wonder)。
イマジン・プロジェクト(Imagine Project)
2010年、ハービーは70歳を迎え、「イマジン・プロジェクト」という企画アルバムを録音します。アルバム・コンセプトは「平和と地球規模の責任」とし、多くのミュージシャンを集結させ、素晴らしいアルバムに仕上げました。さすがです。もちろんグラミー賞を受賞。ちなみに、ハービーのグラミー賞受賞歴は十五回近くにものぼり、先ほど紹介したガーシュインのアルバムも受賞しています。
アルバム「Imagine Project」から、少し多いですが三曲お聴きください。
「Imagine」「Don't Give Up」「A Change is Gonna Come」です。
主席のハービーはこれぐらいにして、次回からは他の優秀な卒業生に話を続けましょう。