江戸時代から幕末にかけ、215年にも及ぶ長い鎖国期間が終焉を迎え、再び海外との貿易が始まった日本は、明治維新を経て西洋文明の先進的な技術や学問を吸収し文明開化が広がった。
「西洋のものなら何でもよい」という考えすら出ていたという当時の政府は、「お雇い外国人」として技術や知識を持つ欧米人を招聘し、自国の学生たちを続々と海の向こうへと留学させ、国土には鉄道が敷かれ、電線が張り巡らされた。
写真はそんな日本の様子をとどめることを可能にした新しい技術の一つだった。
1908年、横浜の商港で働いていたカナダの貿易会社の経営者、ハーバート・ゲデスは、滞在中に日本の風景や人々の写真を手彩色したポストカードを作り、多くの外国人旅行者に販売した。
そこに垣間見える勤勉な職人たちや入念に手入れされた庭園の風景が、欧米人の目には伝統的かつ”時代を超えた”日本文化の象徴として映っていた。それはのどかに暮らす人々が技術革新を迎え、急速に新たな生活を築き上げていった時代でもあった。
これらの写真には明治時代の終わりから大正時代の幕開けに向かう日本の姿が映し出されている。
1. 富士山の眺め
2. 湖畔のリゾート
3. ポーズをとる赤ちゃんと傘を背負った女性
4. 桶を作る桶職人
5. 蚕に餌を与える女性
6. 林道の人力車の運転手
7. 試合前の力士
8. 石臼を回す老婆と見つめる子供たち
9. 着物姿でボートに乗る女性たち
10. 港に咲く桜
11. カゴを背負い、ポーズをとる農民たち
12. 桑の葉を収穫する農民
13. 女性は米を選別し、男性が米粉を作る
14. 石灯籠の石を彫る石彫職人
15. 巨大ダルマの型を取る職人
16. お供たちとポーズをとる吉原の高級遊女
17. 川の上の村落
18. 唐箕(とうみ)で米を選別する農民
19. 木の鳥居シリーズ
20. 神社を散策する鹿
21. 女性の刺繍を見る男女
22. 眠っているようなポーズの2人の芸者
23. 池にまたがる装飾された橋
24. 急流にかかる木の橋
25. 傘の柄付けをする男性
26. 海を渡る漁師と子どもたち
27. 田植えをする農家
28. 集合写真のためにポーズする家族
29. 田植えのために泥を耕す農民
30. 川沿いの植林の眺め
31. 船で富士の裾野へ向かう人々
via:c. 1910 Late Meiji Japan
・translated by いぶりがっこ / edited by D
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コメント
1. 匿名処理班
鎖国時代もなんだかんだ他国の文化は入り込んでて
近代化は進んでたから、実際そこまで急激な変化ってわけではなかったみたいですね
2. 匿名処理班
ああ、美しいなぁ…
個人的に吉原の花魁道中を一瞬でもいいから直に見てみたいんだ
3. 匿名処理班
高級遊女、確かに美人だわ。
4. 匿名処理班
撮影地が気になる
5. 匿名処理班
おっ横浜写真じゃん。外国人向けのお土産写真なんだよね。
日本画顔料で着彩されてるけど、現代のカラープリントと変わらない色合い出てるのもあってすごいよね。
6. 匿名処理班
よく考えると、着色すげー。
7. 匿名処理班
6の写真に写ってる木が太いなぁ
すごく雰囲気がある
8. 匿名処理班
当時の日本の好きなとこは
便利ではなかったけど
不便でもなかったとこかな
9. 匿名処理班
着色の仕方が雜すぎる
10.
11. 匿名処理班
谷の川沿いに建つ家が凄い
旅館かなんかかなぁ?
12. 匿名処理班
>18
脱穀じゃなくてトウミ(唐箕)だよ
ゴミやもみ殻を風で振り分ける装置
13. 匿名処理班
角海老はこんな時代からあったんですね。
老舗やな!
14. 匿名処理班
何処もすごく空気がうまそう
15.
16. 匿名処理班
高級遊女の下駄が物凄い厚底w
かつての厚底ブームよりもかなり昔からああ言ったファッション(?)はあったんだね
17. 匿名処理班
すげぇ。これもある意味タイムトラベルだよな。たまらんわ。
18. 匿名処理班
20. 墓地の庭を散策する鹿って、春日大社に見えるね
鳥居に千社札とか、今も昔も旅行先で名前残そうとするのは変わらんね
19. 匿名処理班
鬼平の世界
今と違い物があふれてるわけではないけど
質素の中に優雅さと骨太の庶民の強さがにじみ出て
力強かったのだろうな。だからこそ世界の強国と
立ち向かえるだけの精神力あった
20. 匿名処理班
日本から一番無くなったのって緑のものとそれに親しむ心かも知れない
この写真に写ってるような植物の濃さや多様さや大きさは、今では見ようと思ってもなかなか見られない代物
どうも高度経済成長あたりを境に日本の緑の状況が激変したらしい
市街の生活に緑なんてろくに無いし、あっても街路樹や公園のせせこましい木と花壇や植え込みのせせこましい緑がせいぜい
田舎の山は一応緑色だが実際には木材需要で一度禿山になっており、後にやたらめったら植えられた杉は中国産杉材の安さに負け、そのまま放置林という不健康で多様性のない緑
現代の人間が昔の文学や和歌に触れても、そこで愛でられている自然の美しさを追体験するのはもうほとんど無理じゃないかと思う
21. 匿名処理班
これは貴重な写真。
22. 匿名処理班
個人的に、普段白黒写真しか目にしない時代は当時の人が見ていた風景まで白黒でイメージしてしまいがちなのですが、当時もやっぱり空は青くて、草木は緑で、(一般人の普段着でないにしろ)着物の色は鮮やかだったのだなあと改めて思いました。
色を得る事で、時間の飛び地のようだった昔が急に地続きに感じられるのは新鮮な驚きですね。
23. 匿名処理班
24はきっと日光の神橋だね。
今も昔も変わらない美しさ。
24. 匿名処理班
トウミ、十年前まで現役で使ってたよw
機械とトウミ両方使ってた。
んで、農家に嫁いで知ったんだけど、昭和50年あたりまでは
写真にあるような手作業で田植えしてたって。田舎だからってのもあるかな?
機械化されたのって最近なんだなぁと初めて知りました。
25. 匿名処理班
※18
春日大社だね。
今とほとんど変わってないね。
26. 匿名処理班
写真の子供達ももう爺さん婆さんかこの世にはいないんだよな
不思議な感覚になる
27. 匿名処理班
18は脱穀機じゃなくて選別機の「唐箕(とうみ)」だな
28. 匿名処理班
今は成金が都内にくだらないマンション立てまくって汚い街になっちゃった
富士山も見れなくなるし
29. 匿名処理班
浮世絵の世界だなあ
30. 匿名処理班
田舎だから今とあんまり変わらん所もあるな
31. 匿名処理班
「繭を集めている」のではなく、カイコに餌を与えているのでは。
繭を作るころには、藁を編んで作った仕切りの中に一匹づついれます。
というのも、二匹がひとつの繭を作ったりすると、生糸が取れないからです(二匹で一個の繭を作った場合は「玉繭」と呼び、切り開いて真綿にするか、そこから糸を引いて紬に織り上げます)
当時、ヨーロッパでは病気でカイコが全滅したため、生糸は銅と並ぶ日本の主力輸出品でした。日清日露の戦費も、かなりの部分生糸が支えたと言えます。
32. 匿名処理班
4の兄ちゃんや、子供の顔とか、今でもいそうな顔立ちで、
やっぱり日本なんだなぁって思う
33. 匿名処理班
この画像をダウンロードしてフォトショップで着色しなおすのは邪道かも
34. 匿名処理班
かなりポーズを作らされてる感じ。とくに農作業のもの。例えば13. 米粉を作るのに臼と杵は使わないだろ。粉になるより臼の外に飛び出すぞ。臼の中に入ってる量も多すぎる。石臼を使うのでは?
まあ、古い時代の風俗の一面が見られるって程度で、記録としての正しさはかなり割り引いたほうがよさそうだ。こんな感じで誤った情報が海外に伝わるんだろうな。同時に海外からの写真も100%正しいって訳じゃあないんだろう。
35. 匿名処理班
木が立派だなあ。多分もうないんだろうが
36. 匿名処理班
花魁はやっぱり今見ても美人だな。
37. 匿名処理班
まさにエキゾチック・ジャパン!
38. 匿名処理班
写真自体は本当に良い物だと思う。
でも『着色』写真はどうしても、どうしても好きになれない。
「汚さないでくれ」って思ってしまう。
39. 匿名処理班
高級遊女かっこいいわぁ
40. 匿名処理班
17の電線みたいなのは何なんだろうか
通信用かな?
41. 匿名処理班
※34
この時代の写真は結構「スタジオ撮影」が多いんだよね。
違う舞台設定の写真なのによく見ると背景や小道具が同じとか
一見外の風景だけど実は書き割りのセットの前でポーズをとってるとか。
42. 匿名処理班
木桶作りって昔と変わらんのだな
43. 匿名処理班
最後の富士山は、愛鷹山の裾が見えるから浮島沼からだね。今は富士山を背景にした新幹線撮影の名所になっている辺り。最初のは近さから見て裾野・御殿場からだと思うけど、宝永山は右下の雲に隠れているのかな。あるいは山梨側からなのかな。
44. 匿名処理班
林の木がでかい
人が通るところでこんな所今はあんまりないよね