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 西武ホールディングス(HD)は10日、西武新宿線南大塚駅から延びる貨物専用の安比奈(あひな)線(南大塚―安比奈、3・2キロ)を廃止する、と発表した。バブル期に計画された安比奈車両基地の廃止が決まったため。半世紀以上休止された路線に、ついに終止符が打たれる。

 安比奈線は運行を休止しているが、西武鉄道の会社概要にも掲載されている「営業路線」。南大塚駅から西の入間川に向けて延び、途中に新駅の計画もあった。入間川河川敷からとった砂利の輸送線として1925(大正14)年に開通。関東大震災や戦後の復興需要で活躍したが、砂利の需要減や採取規制強化により、63年以降、「休止」扱いとなったままだ。

 87年になって、安比奈駅の跡地周辺に約300両をとめられる安比奈車両基地の計画が浮上。川越市など関係自治体にも説明していたが、車両増強計画の見直しもあって実現しなかった。南大塚駅からは単線の線路が現在も延びるが、休止期間が切れる今年11月末に廃止され、線路は撤去される見通しだ。

 10日に発表された決算で、西武鉄道は投資した用地費など約126億円を特別損失として計上した。西武HDの担当者は「廃線は残念だが、土地利用計画を川越市などと協議して地域貢献したい」と説明した。

 昭和の名残を残し、ドラマのロケ地にも使われた風景。同市政策企画課の永堀孝明課長は「今後については西武鉄道や市役所内の関係部署と確認していきたい」と話した。(戸谷明裕)