【マンチェスター(米ニューハンプシャー州)=吉野直也】米大統領選は9日、候補指名争いの2戦目となる予備選を東部ニューハンプシャー州で開いた。民主党はバーニー・サンダース上院議員(74)、共和党は不動産王ドナルド・トランプ氏(69)がそれぞれ勝利した。序盤戦のヤマ場となる同州では本命、主流派候補が苦戦を強いられ、行方はなお混沌としている。
米メディアが一斉に報じた。両党とも初戦のアイオワ州党員集会と勝者が異なった。サンダース氏は9日夜、支持者との集会で「ニューハンプシャーのみなさんありがとう。みなさんのおかげで勝つことができた」と勝利宣言した。同氏はニューハンプシャーに隣接するバーモント州選出で、地の利を生かす戦いを展開した。
勝因は「民主社会主義者」を自称し、公立大学の無償化や高利の学生ローンを組んでいる人に低利に借り換えができるようにする政策が若者層を中心に支持されたのが大きい。
アイオワでサンダース氏に辛勝した本命候補、クリントン前国務長官(68)は同日夜、サンダース氏に祝意を示し、敗北を認めた。若者層対策をはじめ戦略の立て直しを求められる。アイオワに続き、ニューハンプシャーでも若者層は多くがサンダース氏支持に回ったからだ。ほかの州でも同様の傾向が続くと今は全米で引き離している世論調査の支持率も徐々に詰められる可能性がある。
トランプ氏は同日夜、支持者を前に「米国を再び偉大な国にする」と勝利宣言した。全米レベルでの高い支持率を票につなげたトランプ氏が指名争いの主導権を握った。大型施設での演説やテレビ出演などトランプ氏の個人の力に依存していた選挙運動を短期間で改めた。小規模の対話集会や戸別訪問など「どぶ板」選挙を取り入れたことが奏功した。
米メディアによると、共和党の2位はオハイオのジョン・ケーシック州知事(63)が食い込んだ。穏健派の重鎮で予想よりも支持を広げた。同氏は州上院議員を経て20年近く連邦下院議員を務めた。その後はアイオワで勝ったテッド・クルーズ上院議員(45)やジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(62)が続く。
アイオワで3位だったマルコ・ルビオ上院議員(44)は
直前のテレビ討論会が不評で、伸び悩んだ。主流派は再び混戦模様だ。次の焦点は20日の西部ネバダ州の民主党党員集会、南部サウスカロライナ州の共和党予備選、そして10州以上の予備選や党員集会が集中する3月1日の「スーパーチューズデー」に移る。
バーニー・サンダース、ドナルド・トランプ、テッド・クルーズ、クリントン、マルコ・ルビオ