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クワの葉に「宝石」女子高生が発見 世界初、専門誌に論文

2016/2/10 11:07
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 早稲田大本庄高等学院(埼玉県本庄市)の女子生徒らの研究グループが、カイコの餌になるクワの葉から「植物の宝石」ともいわれる鉱物のプラントオパールを発見した。イネなどでは既に知られていたがクワから確認されたのは世界初として、英語論文が植物学の国際専門誌「Flora」の2月号に掲載された。

電子顕微鏡で撮影したクワの葉のプラントオパール
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電子顕微鏡で撮影したクワの葉のプラントオパール

 研究開始時は在校生だった早大2年の筒井音羽さん(20)と早大1年の坂本玲さん(19)、同校3年の尾林舞香さん(18)と山川冴子さん(18)が取り組み、半田亨教諭と東大物性研究所の松田巌准教授が支援した。

 プラントオパールはケイ酸の結晶。植物が地中から水とともに取り込んだ物質から作られ、植物ごとに形が違う。植物が枯れても残り続けるなど安定した性質もある。例えばイネが過去にどこで栽培されていたかなどの手掛かりになるため考古学でも注目されている。

 重点的に理数教育をする「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定されている同校では2010年から、生徒有志が校内に自生するクワの葉で、1つの木にさまざまな形の葉が存在する「異形葉性」の研究に取り組んできた。

クワの葉を手に研究の思い出を語る(左から)山川さん、筒井さん、坂本さん、尾林さん(昨年12月、埼玉県本庄市の早稲田大本庄高等学院)
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クワの葉を手に研究の思い出を語る(左から)山川さん、筒井さん、坂本さん、尾林さん(昨年12月、埼玉県本庄市の早稲田大本庄高等学院)

 筒井さんが高校3年生だった13年9月、クワの葉を顕微鏡で観察したところ、大きさ50マイクロメートルほどの鉱物を発見。SSHの運営指導員を務める松田准教授が元素分析をした結果、まだ確認されていなかったクワのプラントオパールだと判明した。

 松田准教授の勧めで筒井さんは専門誌への投稿を目指して論文執筆を開始。筒井さんが卒業するのを機に、坂本さんや尾林さん、山川さんが研究を引き継ぎ、2千枚超の葉を観察するなどしてデータを補強した。論文は数度の書き直しの末に完成し、掲載に至った。

 筒井さんは「身近な物を調べ続けたら大きな結果につながった。論文が世界中から読まれることになりうれしい」と喜ぶ。坂本さんは「研究の孤独さはつらかったが、未知のことに仮説を立てて検証するのは楽しかった」と顔をほころばせた。〔共同〕

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