人間の脳はよく間違います。既存の何かと結びつけて誤解を引き起こし、多くの場合、本人はそれに気づきません。ニンジャスレイヤーもまた、日本における認知度がまだまだ低く、様々な誤解を受けます。今日は、インターネットを中心に散見される、ニンジャスレイヤーに関する誤解、代表的な10個をまとめてみようと思います。
1. ニンジャスレイヤー"ズ"だと思われている
出版社がKADOKAWA繋がりだからでしょうか? NINJA SLAYERはNINJA SLAYERSではなく、ニンジャスレイヤーです。映画とかでよく複数形のSを省略して、ロード・オブ・ザ・リングみたいにカタカナにすることがありますが、ニンジャスレイヤーは複数形のSを省略しているわけではなく、実際、単数です。
2. カタナと銃で戦う
NINJAといえばKATANA! そのような誤解は日本でもまだまだ多いようです。ニンジャスレイヤーはカタナも銃も使いません。KARATEやSURIKENやNUN-CHAKUで戦います。特にカタナは、彼の妻子を殺したダークニンジャの武器なので、意図的に使用を避けている節があります。そして銃? あなたは単純にデッドプールと間違っている可能性があります。
3. 「ドーモ、ミナ=サン」と挨拶する
「ドーモ、〇〇=サン」の「=サン」は、手紙やメールなどで一般的に使われる英語の「-san」表記を翻訳したものです。「Domo, Tanaka-san」は「ドーモ、タナカ=サン」ですが、「Domo, everyone」や「Domo, guys」などには「-san」はありませんので、翻訳するならば「ドーモ、皆さん」が妥当です。英語には「everyone-san」という概念がないのです(驚くべき真実)。なお、この誤りはある種通過儀礼的なものであり、統計データによるとニンジャスレイヤーを知った人の87%がこの間違いを一度します。筆者も最初間違えました。
4. どっかの出版社のステマに決まっている
回答:冷静に考えてください。こんな気の長い過酷なステマを提案する社員がもしいれば、企画段階でクビになっていると思います。
対策:よく知れば誤解も解けると思うのでほっといてください。
5. 舞台はLAで「ドウモ、ニンジャスレイヤー、デス」みたいに片言日本語で喋る
舞台は近未来日本のネオサイタマで、しかも鎖国しているため、登場人物の大半は日本人です。ニンジャスレイヤーはフジキド・ケンジ、ダークニンジャはフジオ・カタクラです。よって、片言日本語では喋りません。確かに敵ニンジャの名前は「ミニットマン」や「イクエイション」などと、まるでトランスフォーマーのような片仮名ネームばかりなので誤解されがちですが、これらも特記がない限り皆日本人です。片言日本語マニアの方は、FUNIMATIONなどでニンジャスレイヤーの英語版アニメを視聴し、力強い「DOMO」の発音などを堪能してください。また、LAはおそらくブレードランナー由来の誤認かと思われます。
6. 全てのニンジャを問答無用で惨殺する
「ニンジャスレイヤーにハットリくんが殺されちゃうのでは?」「ニンニンジャーを殺さないで!」という心配の声をしばしば見かけます。結論から言うとそれはないと思います。全てのニンジャを惨たらしく殺したいと考えているのは、彼に憑依しているナラク・ニンジャであり、ニンジャスレイヤー本人ではありません。彼は邪悪なニンジャには容赦しませんが、自分を助けてくれた善良なニンジャや、ニンジャソウルを制御して奥ゆかしく生きようとしている女子高生ニンジャを(ナラクはそれらも全部殺せと頭の中で繰り返しますが)問答無用で殺そうとはしません。ニンジャスレイヤーは概ね常識的に状況判断を行っており、無思考な「ニンジャ全部殺すマン」ではありません。むしろ、ニンジャスレイヤーが「ニンジャ全部殺すマン」ではないという事実にこそ作品のテーマがあると言っても過言ではないでしょう。
7. 全てフリーで公開しないと滅びる
Twitterは無料なので、ニンジャスレイヤーのTwitter連載版は無料で読めますし、過去ログも消していません。しかし少なくともそれは、コンテンツをとにかく全部フリーにすべき的な末期ウッドストックヒッピー暴徒めいた思想に基づく選択ではありません(お金が入ってこないと原作者に印税も入らず普通に滅びます)。もし仮に「なんでこれはタダじゃないんだよ!」「これもタダにしろよ! フリーの体現者だろ!」的なディストピアな声が聞こえるようになったら翻訳チームはへそ曲がりなので逆に頭にきて無料を全部止める可能性すらあります。
8. ニンジャスレイヤーの中身はロボットかサイボーグ
ニンジャスレイヤーの中身がロボやサイボーグであると誤解されることもあります。確かに舞台はサイバネに溢れたサイバーパンク世界ですが、ニンジャスレイヤーであるフジキド・ケンジの肉体には、サイバネが一切ありません。彼はニンジャへの憎悪とKarate、そしてSurikenやNun-Chakuだけの力によって強大な敵を打ち倒すのです。もしくは単純に、NINJA WARRIORS と混同されている可能性があります。
9. 「拙者、ニンジャスレイヤーでゴザル」と妙に時代がかっている
確かにニンジャスレイヤーは敵を「オヌシ」呼びすることはありますが、時代がかった台詞回しはその程度ですし、文明世界にタイムスリップしてきた野蛮人のような時代ギャップ系ギャグのキャラクターでもありません。また確かに偉大な作品ではありますが、西暦2016年にもなったことですし、そろそろ我々は「忍者といえば忍者ハットリくん」という固定観念から脱却し、ニンジャの真実に目を向けるべき時なのではないでしょうか。
10. 調理器具である
Ninja Master Prep Professional (QB1004) ニンジャフードプロセッサー [並行輸入品]
- 出版社/メーカー: Ninja Master Prep Professional (QB1004) ニンジャフードプロセッサー
- メディア:
- この商品を含むブログを見る
それはNinja Master Prepです。Amazonでよく間違われています。
未来へ
いかがだったでしょうか。あなたも10個中7〜8個くらいは、このような誤解を抱いていたのではないでしょうか。日本でニンジャスレイヤーについての正しい理解が浸透するまでには、まだまだ時間がかかりそうです。
とはいえ、この記事の目的は日本から「ドーモ、ミナ=サン」のような誤ったミームを取り締まって滅ぼしたいわけではなく、むしろ一般的にはこのくらい誤解、誤用されているということを理解し、ニンジャ警察になって血眼で取り締まったりせず、ゼンを心がけて奥ゆかしく穏やかに構えてほしいと思ったからです。そのような誤記や誤用を見つけたとしても、ニンジャソウルに憑依されたばかりのニュービーニンジャのやることだと思って、温かい目で見守ってあげてください。
(Tantou)