探し求めたあの頃。
「R-TYPE」の大ヒットにより、硬派なシューティングゲーム(以下STG)も作れる会社であることを証明したアイレムが、今度は縦スクロールSTGに挑戦して生み出したのが、この「イメージファイト」だ。
イメージファイト [WiiUで遊べるPCエンジンソフト][オンラインコード]
- 出版社/メーカー: 任天堂
- 発売日: 2015/07/06
- メディア: Software Download
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このゲームの事を初めて知ったのは、たぶんファミ通とかのメジャーな雑誌じゃなくて、「ハイスコア」とか「ゲームボーイ」とかのマイナーな雑誌のほうだったと思うけど、昔過ぎてもう覚えていない。
「R-TYPEの開発スタッフが作った」とは言ったが、当時の自分はまだ小学生でR-TYPEすら未プレイだった。だから、その謳い文句に惹かれたのではない。自分を惹きつけたのはある一枚の写真だった。それが、3面ボスの放つ曲折レーザーだ。
これを見て、「なんだこのレーザーは。どうやって避けるんだこんなもの!!」と驚き、そしてプレイしたい衝動に駆られた。
※実際はこのスクショのように安全地帯があるから避ける必要はない。
初めて見たのは、中学の修学旅行で行った東京ディズニーランドのゲームコーナーだった。これがあのイメージファイトか!と思いつつ100円を投入してプレイしたのだが、あのゲームコーナーのジョイスティックは、なんかヘチマみたいな形をした独特なやつで、まともに動かせずにすぐ死んだ。あれはいまだかつてあそこでしか見たことがない。何だったんだあのおかしな形のスティックは…
結局、その後も一度もゲーセンではイメージファイトを見ることはなく、次にプレイ出来たのは大学時代に友達からPCエンジンをクソゲー30本付きで買った時だった。その「クソゲー」の中にイメージファイトが入っていたのだ。超嬉しかった。
VR? いいえ、イメージファイトです。
イメージファイトは全8面構成で、5面までとそれ以降で区別される変わったゲームだ。
というのも、「イメージファイト」という名前の通り、最初の5面は出撃前のパイロット訓練という設定なのだ。VR訓練もビックリのバーチャルリアリティである。なので、5面まではクリア後に成績が表示される。
ゲームシステムも、さすがR-TYPEのスタッフが作っただけあって凝っている。
最も特徴的なのは、プレイ中にいつでも自機の速度を4段階に変更できる点だ。そして、速度変更時に出るバックファイアにも当たり判定があり、これを使って敵を倒すことも可能だ。このゲームが初出なのかどうかは不明だが、この要素は後にスーパースターソルジャーなどの他社のゲームにも採用されることになる。
パワーアップ方式は、アイテムキャリアを破壊して現れるパーツを装備することにより、自機の攻撃方法が変わるというものだ。パーツは9種類あるが、はっきりいって実用的なものは限られる。うっかりサイド攻撃のパーツなんか取ってしまった日にはむしろパワーダウンである。
ただ、このパーツ自体にも当たり判定と耐久度があって、敵の攻撃を受けると破壊されてしまう。さらに、新たなパーツが出てきたとしても、自由にパーツの付け替えは出来ない。別のパーツを付けたかったら、今装備しているパーツを壊すしか無い。
もう一つの特徴的な攻撃オプションに「ポッド」がある。これは、自機の左右と後ろに装備することの出来る補助攻撃装置で、青いポッドは上に弾を発射し、赤いポッドはキー入力とは反対方向に弾を発射するようになっている。
さらに、ショットボタンと速度変更ボタンを同時押しすると、ポッドを射出して自機の攻撃の届かない所の敵を攻撃する「ポッドシュート」が可能になる。使い所は限られるが、結構需要テクニックだったりする。
このゲームの特徴をもう一つ挙げると、やたら敵が硬いことが挙げられる。なにしろ、アイテム持ってくるキャリアでさえ6発必要なのだ。その他は推して知るべしである。自分がプレイしたPCエンジン版は、コントローラーに連射機能が付いていたのでそこまで大変ではなかったが、自力連射は結構辛いと思う。
それと、縦スクロールのSTGにしては珍しく地形で殺しにくる。結構狭いエリアを抜けつつ、ポッドを上手く使って敵を倒していかなければならない。初見やアドリブで1周クリアできる人は相当な才能の持ち主だろう。
安地はロマン。
そして、何と言ってもイメージファイトを語る上で絶対に外せないのは、5面クリア後の成績如何によってプレイすることになる「ペナルティエリア」だ。だが、たいていの場合このステージは正式名称では呼ばれない。誰もが「補習ステージ」と呼ぶ。
5面クリア時に敵の破壊率が90%に満たないとこの補習ステージに回されるのだが、これが恐ろしく難しい。
まず、5面までのパワーアップがリセットされ、自機が初期状態に戻される。しかも、補習ステージにはアイテムが出ない。なおかつ、敵が固くて攻撃が避けづらい。当たると一定時間動けなくなる弾を撃ってくるヤツもいる。補習というより公開処刑に近い。
だが、実はこの補習ステージには普通にプレイしていたらまず回されない。なら、なぜこのステージが語り草になっているのかというと、2周目の補習ステージがSTG史上屈指の難易度を誇るからだろう。
補習ステージは凄腕シューターの趣味の領域である。そして、あの補習ステージを生き抜いて、このゲームの2周目をオールクリアできる人は、選ばれたほんの一握りの存在だけだ。彼らだけが、あの切ないエンディングを本当の意味で体験することが出来る。
と、難易度的には鬼畜以外の何物でもないのだが、実は後進に及ぼした影響は大きい。例えば、まるでパズルのようなパターン構築を迫るSTGを作ることで有名なトレジャーの「レイディアントシルバーガン」や「斑鳩」は、このイメージファイトに影響を受けたと言われている。
ちなみに、道中は恐ろしく難しくて、アドリブすら許されないなか、何発も撃ち込まないと倒せない敵の攻撃をかいくぐらなければならないのに、何故かボスは柔らかい奴が多い。勿論、知っていることが前提条件だが、安全地帯があったり瞬殺できたりする。
安地…
それはロマンである。