今回は、愉快な企画「新しいことわざオリンピック」の表彰式である。
応募総数三名という、
「ゼロじゃなくてよかった……」
と胸をなでおろすレベルの盛況であった。
では、音楽スタート!
まず最初は「勝って兜に近寄らず」部門でご参加いただいた「ねこぜろぐ」のid:nekozemaru さんの作品から。
意味:やっとこさ手に入れたものでも、近づいて冷静に見てみると思わずぎょっとすることがある、というたとえ。
例:
A「敵将軍の首、打ち取ったりーー!!」
「うおおおおおーーーー!!」
A「よし、さっそくこれを将軍様のもとへ…!」
B「うぷっ、お前何もってんだ!気持ちわり」
A「生首なんだからしかたないだろう」
B「そうはいってもなあ、血まみれだし、臭いし、いっそ捨てたほうがいいぞ。」
A「ううむ、確かに。捨て置いて、近寄らないようにしよう。」
B「勝って兜に近寄らず、だな」
A「うむ」
”勝って兜の緒を締めよ” ”君子危うきに近寄らず”
これは文句のつけようのない出来で、普段のこのブログの記事に紛れ込んでも、そのまま通用する完コピぶりであった。
はっきりしたidを持っている参加者は非常に少ないため、もう金メダル賞を授与するしかない!
id:nekozemaru さん、おめでとうございます!!
「勝って兜に近寄らず」ということにならないよう、これからもこのブログをよろしくお願いします!
次は、何と匿名希望の増田さん(仮)からのご投稿である。
「 募集要項に増田でやるなとは書いてなかった。」とのことだが、まさかそっち方面から反応があるとは予想していなかっただけである。
ちなみに増田でidコールされても、本人には通知が届かないらしい。
では作品を見てみよう。
D:火のないところに穴二つ
生徒(タバコを隠しながら)「吸ってません!」
教師「そんなぶっとい息があるか?」
生徒「火のないところに穴二つと申しまして」
ぜんぜん面白くないじゃないか! どうしてくれるんだ?
最後の「ぜんぜん面白くないじゃないか!どうしてくれるんだ?」という開き直りが良い(このフレーズは便利そうなので、そのうち私も使ってみたい)。
もう一つ、
大阪の吹田市千里には「万博記念競技場」というのがある。アスリートの間では通称「千里」で通じる。
ここを何日か前にホッテントリになった http://www.arikawashuhei.com/entry/2016/01/17/110000 に出てくるような選手が走れば、まさしく
と言う。
「はい論破(何をだ?)」というセルフツッコミに、何となく性格の良さがにじみ出ているようである。
増田というのはもっとドロドロして、恨みつらみがヘドロのように溜まっている場所かとばかり思っていた。
「ちなみに」以下の部分を書きたかっただけだろ、というコメントがあったが、私も実は同意見である。
結論としては、ねこぜろぐ氏と同列には扱えないので、
銀メダル賞!!
といったところである。
この人は発表を見ていない気もするが、
おめでとうございます!
続いて、もう一名の増田氏である。
この人は最初の増田氏に触発されて書いてみた、という流れになっている。
「おう八っつぁん、どうした浮かない顔をして」
「おや熊さん。それがな。ここだけの話なんだが、俺ぁもう相撲を取るのをやめようかと思うんだよ」
「そりゃまたどうしてだい。おまえさん、このあいだ横綱になったばかりじゃないか」
「俺はほとほと疲れはてたんだよ。もう身体がぼろぼろだ。しばらくは家の中で出来る仕事をしてゆっくり過ごそうかと思うんだ。しかし家内にそう言うと反対されちまってね」
「そいつぁ奥さんが正しいよ。『河童も歩けば棒に当たる』と言うだろう。河の中では泳ぎが上手い河童だって、陸に上がればふらふらで、あちこちにぶつかっちまう。悪いことは言わねえから、おまえさんの土俵で勝負すりゃいい」
「しかし熊さん、『勝って兜に近寄らず』とも言うじゃねえか。得意だからってやっぱり危ないことはしたくねえ。上手くいったところですっぱりやめるのが正解だと思うんだがね」
「いやいや、それは違うぜ八っつぁん。『暖簾に種は生えぬ』ってな。ひらひら宙を舞う布っきれに、種を蒔いても何にもならねえ。どっしりとした地面に蒔いてこそ芽を出すもんよ。そう軽々しく新しいことに手を出すもんじゃねえさ」
「熊さん、やけに熱心に引き留めるね。まさかおまえ。くだらない噂だと信じていなかったが、やっぱり家内と…」
「ひひっ、ばれちまった。いやさ、おまえさんが家を空けているあいだにな。しかし俺が誘ったんじゃないぜ。『可愛い子は千里を走る』と言うだろ。良い女は千里も倫理も乗り越えて良い男のところにやってくるもんなのさ」
「こいつぁ許せねえ、引っ叩いてやる。昔から男女の色恋沙汰は『火のないところに穴二つ』ができると言うが、実際に火があったんなら尚更だ」
「うへえ、横綱の張り手じゃ本当に死んじまう、勘弁してくれぇ」
五つのお題を、全て一つの創作落語にまとめたという力作であった。
熊と八の会話で片方がいきなり横綱という点や、「火のないところに穴二つ」の説明が乏しい点など、小さな瑕がなくもないのだが、この作品のおかげで急にアクセスが増えたので、お礼の意味も込めて特別に、
ロマン輝く、
ダイヤモンドクロス賞を差し上げます!!
私はもしかすると、この作品は最初の増田氏と同じ人物が書いたのではないかという気もしている。
そしてやはり結果発表(というか、そもそもこのブログ自体)をご覧になっていないかもしれないのだが、それでも永久に栄誉を称えたいと思う。
それでは、四年後の「新しいことわざオリンピック(東京開催)」に備えて……。
家元は帰るぞ。