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【政治】

高市総務相「電波停止」に再び言及 報道萎縮の恐れ

衆院予算委で答弁する高市総務相=9日午前、国会で

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 高市早苗総務相が八日に続き九日も衆院予算委員会で、テレビ局などが放送法の違反を繰り返した場合、電波法に基づき電波停止を命じる可能性に言及した。野党側は放送や報道の萎縮につながると批判している。(新開浩)

 Q 政府に放送局の電波を止めることができるのか。

 A 電波停止に関する法律は二つある。一つは番組編集のルールを定めた放送法四条だ。その中で放送局は「政治的に公平」な編集を求められている。

 Q もう一つは。

 A 電波利用の許認可に関する電波法だ。同法七六条に基づき、総務相は放送法に違反した放送局に最大三カ月間の運用停止を命じることができる。高市氏は政治的公平性に違反した放送局も、この罰則の対象になりうるという考えを示したんだ。

 Q 政権の主張と異なる番組を放送したら、電波を止められる恐れはないの。

 A 憲法で表現の自由が保障されている。放送法の目的には「放送による表現の自由を確保すること」と書いてある。高市氏も「一回の番組で電波停止にすることはありえない」と説明している。同じ放送業者が同様の違反を繰り返し、自主的な改善が見込めない場合に限り、電波停止の適用を慎重に判断するという。

 Q じゃあ、そんなに心配はいらないのでは。

 A 心配なのは報道を萎縮させる動きだ。自民党は昨年四月、報道番組でやらせが指摘されたNHKと、コメンテーターが官邸批判したテレビ朝日のそれぞれの幹部から事情を聴取した。昨年十一月には、放送倫理・番組向上機構(BPO)が自民党によるNHK幹部の聴取を「圧力」と批判した。その後、看板キャスターらの降板決定が相次ぎ、報道のあり方を危ぶむ声もある。

 Q やっぱり心配だね。

 A 民主党の細野豪志政調会長は九日の記者会見で「放送法四条を振りかざして、メディアの萎縮をもたらすと非常に危惧する」と述べた。報道圧力と受け取られる政権側の発言は国会で議論になりそうだ。

◇放送法第4条 

 放送事業者は、国内放送及び内外放送の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない

一 公安及び善良な風俗を害しないこと

二 政治的に公平であること

三 報道は事実をまげないですること

四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

 

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