「マニュアルに不備」訓練トラブルでJR北
3月26日開業する北海道新幹線(新青森−新函館北斗)の乗客避難訓練で車両が青函トンネル内に一時立ち往生したトラブルで、JR北海道は9日、マニュアルに不備があったと発表した。これまでの訓練でもトラブルが相次いでおり、JR北の安全管理体制に大きな課題を残した。
JR北によると、車両がトンネル内で折り返すのは今回の訓練が初めて。新幹線運行管理センターの社員が手動で送電を切り替える必要があったが、切り替えていなかった。マニュアルが不十分で、社員が習熟していなかったとみられる。
青函トンネルでは昨年4月、特急列車の発煙事故が発生。乗客124人が地上に避難するまで約6時間かかり、迅速な避難体制の確立が焦点だった。
JR北は、トンネル内で新幹線のトラブルが発生した場合、救援列車を横付けして乗客を避難させる方法を想定。救出後はより地上に近い方向へ向かい、速やかな避難を目指すとしていた。
昨年8月にあった新幹線車両の訓練運転初日でも、奥津軽いまべつ駅(青森県今別町)構内でポイントが切り替わらなくなるトラブルが発生。今年1月の高架橋からの避難訓練では、避難した乗客がテントやバスに入りきれず、車内や線路上で待たされた。
関西大の安部誠治教授(公益事業論)は「JR北は組織として細部の詰めが甘い体質のために、トラブルが相次いでいるように感じる。今後、二重の確認体制をとるなど開業まで対策を徹底してほしい」と指摘している。【遠藤修平、小川祐希】