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新幹線停電は送電で人為的ミス

02月09日 19時06分

新幹線停電は送電で人為的ミス

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北海道新幹線の開業を来月に控え、北海道と青森県を結ぶ青函トンネルで9日未明、新幹線の車両を使った初めての避難訓練が行われましたが、訓練中に停電が起き、列車が緊急停車するトラブルがありました。
新幹線に電気を送るための変電所の切り替え操作が行われていなかったことが原因とわかり、JR北海道は担当社員への指導を徹底することにしています。
青函トンネルで初めてとなる新幹線の避難訓練は営業運行が終了した9日午前0時すぎに始まり、北海道の新函館北斗駅を出発した列車で火災が検知されたという想定で行われました。
訓練では、青森県側から救助に向かった「救援列車」が旧海底駅の「竜飛定点」と呼ばれる地点に到着し、乗客役のJR社員などを新幹線から移して再び青森県側に引き返すはずでしたが、「竜飛定点」を出発した直後に停電が起き、トンネル内で緊急停車しました。
電源は5分ほどで回復したものの、安全確認などのため「救援列車」はおよそ40分遅れで新青森駅に到着しました。
乗っていたおよそ300人にけがはなく、ほかの列車の運行に支障はありませんでした。
「救援列車」は新幹線の車両で編成され、進行方向と逆方向に引き返す際には列車に電気を送る変電所を手動で切り替える操作が必要になる場合がありますが、JR北海道によりますと今回、運行管理センターでこの操作が行われず、停電につながったということです。
訓練に立ち会ったJR北海道の島田修社長は停電について陳謝したうえで「今回のトラブルを教訓に今後も訓練を続けて安全に開業を迎えたい」と述べました。
JR北海道では、担当社員への指導を徹底し再発防止を図りたいとしています。

【停電の原因は】。
国土交通省によりますと、新幹線は、不具合が発生した場合に被害の拡大を防ぐなどの目的で車両に電気を送る架線が一定の区間ごとに区切られていて、車両が走行するのにあわせて自動的に区間が切り替わり、必ずひとつの変電所から電気が送られる仕組みになっています。
しかし、本来とは異なる方向に走行する際には自動で切り替えが行われない場合もあり、今回は手動で車両に電気を送る変電所を選ぶ手順になっていました。
ところが今回の訓練では青森側から救助に向かった救援列車が青函トンネルの旧海底駅に到着したあと、再び青森方向に戻ろうとした際、手動で切り替える操作を行っていなかったということです。
このため、車両が架線の区間のつなぎ目にさしかかった際に、2つの変電所から同時に電気が送られることになり異常を感知して停電が起きたということです。

【専門家「自動化の仕組みを」】。
今回のトラブルについて鉄道システムが専門で工学院大学の高木亮准教授は、「トンネル内でのトラブルは大惨事につながりかねず、あってはならない。今回は訓練中だったため不幸中の幸いといえるが、関係者には反省を求めるとともに再発防止に向けた教育や訓練を徹底してもらいたい」と話しています。
そのうえで「将来的には、送電の切り替えを自動化するなど今回のようなヒューマンエラーを排除する仕組みを検討していく必要がある」と話しています。

【青函トンネルの安全対策】。
青函トンネル内で火災や車両トラブルが起きた場合、新幹線は自力走行が可能であればまずトンネルの外に出ることを最優先にします。
トンネルの外まで走行できない場合は、北海道と青森県側の2か所にある「定点」と呼ばれる旧海底駅に停車し、「救援列車」としてやってくる別の新幹線に乗り換えて地上に避難します。
JR北海道によりますと、新幹線は運行システムの性能が在来線よりも大幅に優れているため、救援列車での避難が行いやすいということです。
ただし、救援列車が向かえない場合は、乗客は階段やケーブルカーを使って地上に避難するしかありません。
JR北海道では、こうした事態に備えて、青函トンネル内の避難所を2か所から6か所にしたほか、乗客を地上に運ぶケーブルカーの定員を15人から38人に増やすことにするなど、安全設備の充実を図っています。
このほか、通信環境も改善され、これまで携帯電話の電波が届かなかった「定点」付近では一部の携帯電話会社であれば通話ができるようになっています。

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