このまま行けば「ドナルド・トランプは新たなムッソリーニになる」と心配している読者に、心強い知らせがある。週末にニューハンプシャー州プリマスで行われた集会での様子を見る限り、トランプ氏の演説はあまりに退屈すぎて、説得力のあるファシズムの独裁者にはなれない。
話は長くて脱線ばかり。同州北部のこの会場に車で来たが、恐ろしく時間がかかったという文句がたびたび出てきた。聴衆はあくびをこらえきれず、途中で席を立ってスーパーボウルをテレビ観戦するパーティーに出掛けてしまった人もいた。普段なら大衆を喜ばせる、メキシコとの国境に「壁を造る」話でさえ、この日ばかりはおざなりな拍手しか聞かれなかった。
とはいえ、演台に立つ者として、そして人間として明らかに欠点があるにもかかわらず、トランプ氏はここ数カ月、米国大統領選挙の準備段階の話題を独占することに成功してきた。共和党の候補指名争いにおけるトランプ氏の成功は、民主党のそれにおける自称社会主義者のバーニー・サンダース氏の成功とともに、政界のエスタブリッシュメント(支配階級)が有権者の信頼をいかに失っているかを如実に示している。
政治システムは著しく腐敗して機能不全に陥っているから、信頼して政治を任せられるのはもう完全なアウトサイダー(非主流派、部外者)だけだ――。多くの米国人はそう判断したようだ。筆者がそれを痛感したのは、プリマスの会場の片隅にいた参加者に声をかけたときだった。トランプ氏に投票する可能性があるこの男性は、羽振りが良さそうな弁護士で、トランプ氏に入れない場合はサンダース氏に入れると言ったのだ。
■トランプ氏とサンダース氏の類似点
トランプ氏とサンダース氏が有権者へ主張する内容には、かなり似ている点がある。まず、両者とも、主流派の政治家は腐敗した既得権益やロビイストに借りがあると強い調子で批判している。大金持ちのトランプ氏は、選挙資金をすべて自腹で賄っていることを美徳として掲げ、ほかの共和党候補が資金提供者から受けている圧力とは自分は無縁なのだと強調している。
一方のサンダース氏は、選挙資金のほとんどを小口の寄付で賄っている。また、ヒラリー・クリントン氏がゴールドマン・サックスなどから講演料として何十万ドルもの資金を受け取ってきたことを指摘し、クリントン氏に差をつけている。
北朝鮮が、同国初の水爆実験後間もなく行ったミサイル発射は朝鮮半島で最も注目を集めている話題だろう。だが、朝鮮半島への投資家がもっと懸念しているのは、韓国の産業の競争力低下と頼りない企業統治だ。
韓国…続き (2/10)
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