米国の国際関係専門誌「Foreign Policy(FP誌)」は、米国シンクタンク・ ランド研究所の机上演習の専門家ディビッド・ シャルパック氏の指揮の下、尖閣諸島をめぐって日中が衝突したという設定で机上演習を行った 。
机上演習ではシャルパック氏の進行に従い、FP誌記者が米国側と中国側両陣営の立場から、被害を最小限にとどめる道をさぐった。ランド研究所は軍の戦略立案を目的として設立された機関を母体とし、現在も米国の安全保障政策に強い影響力を持つとされる。机上演習という仮説検証とはいえ、米国内に日中衝突を現実的な可能性として想定する見方があることになる。シュミレーション結果を要約してみた。
机上演習は、日本の極右グループが尖閣諸島・魚釣島に日本国旗を立て、 中国海軍陸戦隊がグループメンバーを拘束、両国が緊張関係になったという設定で行われた。
1日目
日本は海上自衛隊戦艦と戦闘機を当該地域に配備し、米国に日米安全保障条約にもとづいて協力を求める。
2日目
米国側は日本の要請に応えるかどうかの判断を迫られる。
米国が長年の同盟国の要請にどう対応するかがNATO加盟国はじ め各国に注視されている一方で、大国・ 中国と交戦するのは最悪のシナリオと考え、 米国は日本の本州に海軍と空軍を派遣したものの、中国軍への軍事的行動を拒否した。
また、 中国が抗日70年行事で発表した「空母キラー」ミサイルを警戒し、横須賀の空母ジョージ・ ワシントンを出港させ、西太平洋へ移動。同時に、カリフォルニアの第三艦隊の一部を太平洋北部に移動。さらに、攻撃型潜水艦を尖閣周辺に配備した。
日本は、海上自衛隊の駆逐艦を尖閣付近に派遣するため、手薄になる日本海への米国の駆逐艦派遣を要請。米国は同意。
3日目
中国海警局と日本の漁船が衝突し、漁船が沈没。 日本は中国船に対し放水砲と電波妨害機器を使用し、 戦闘機も接近させた。中国側の一隻が日本の戦闘機に対して発砲、 日本側も中国船に発砲した。中国からの対艦ミサイルにより、 日本船2隻が沈没し、日本の約500名が死亡した。
軍事ホットライン等の日中間の交渉は打ち切られ、日本は米国にさらなる協力を要請した。在日米国大使館には日本への援助を求める人々が押し寄せる一方、 在中国米国大使館は激昂した市民が殺到した。米国メディアや上院議員は日本への援助を急ぐよう訴えている。米国は中国のミサイル駆逐艦2隻を魚雷で攻撃を決定。 中国側の数百名が死亡した。
4日目
中国政府は、これは日中間の戦闘であり、米国とは無関係と発表したが、沈められた戦艦の報復を求めるネット市民ら数億人の声が上がった 。
しかし、中国は国内の非難の声を無視し、米国軍への直接の攻撃は避けた。自衛隊への攻撃を続ける一方で、 米国へのサイバー攻撃によりロサンゼルスやサンフランシスコで大 規模停電を引き起こした。また、株式売買システムNASDAQへ のサイバー攻撃により、米国の経済市場を混乱させた。また、 米国債の売却をほのめかし、米ドル安を引き起こした。
5日目
中国は尖閣周辺の日本の水上船への攻撃を継続し、24時間以内に海上自衛隊の戦力の20%が失われ、 数百名が死亡した。中国は日本の脆弱な電気系統を破壊する一方、 ジェット燃料の供給所を攻撃した。
日本は米国に対し、日本に配備されている空母を戦闘に投入し、中国船への攻撃を行うよう要請。また、 中国本土の対艦ミサイルへの攻撃を求めた。
机上演習では二つのシナリオが検討された。
1)日本の要請を拒否し、中国本土への攻撃や空母の派遣は行わない。 代わりに潜水艦や戦闘機を派遣し、海上自衛隊の撤退を支援。
この場合、米中の全面戦争を避けることができ、 海上自衛隊と日本経済が壊滅を回避できる。中国は日米への勝利を宣言し、尖閣諸島を領有することになるが、長期的には日本をはじめとするアジア諸国の軍備増強を招き、軍事上・経済上の不利に直面する可能性がある。
2)米国は人道支援・災害対応チームを日本に派遣。空母を尖閣から十分離れた位置に配備。中国沿岸の対艦ミサイル設置場所数箇所を攻撃。
この場合、米国が中国本土や戦艦への攻撃を続け、中国海軍に大ダメージを与える一方で、日本の商船や沖縄の嘉手納基地が中国の攻撃を受け、空母ジョージ・ ワシントンも中国の空母キラーミサイルで攻撃されると考えられる。両陣営に甚大な被害が出、数千名が死亡する。 米国はさらに攻撃を続け、中国の空母への攻撃や、東シナ海封鎖による経済攻撃を行うことも可能だが、 中国側もさらに日本への攻撃を強めることになり、海上自衛隊や尖閣諸島の保護にはつながらない。
机上演習を受け、日米の同盟関係は米国側に被害を出しうることや、日本単独での対中尖閣防衛は不可能であり、特に中国のミサイル攻撃を防ぐのは難しいと結論づけられた。また、米国の空母は中国の対艦ミサイルに対して脆弱であり、米国側の障害になり得る一方、潜水艦による攻撃は有効だが、潜水艦による攻撃は米中の全面戦争につながる可能性があると確認された。
ソクラ編集部
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